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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] オランダにおける事業実施に関するオランダ事業実施委員会と交わした覚書

[場所] 
[年月日] 1998年7月15日
[出典] デジタル記念館 慰安婦問題とアジア女性基金
[備考] 仮訳
[全文]

1998(平成10)年7月15日

従軍慰安婦問題に関する

女性のためのアジア平和国民基金とオランダ事業実施委員会との間の覚書

(仮訳)

  女性のためのアジア平和国民基金(以下、基金とする)及びオランダ事業実施委員会(以下、委員会とする)は、

  先の大戦中にオランダ人女性がいわゆる「従軍慰安婦」として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたことを認識し、

  また、心身にわたり被害を受けたこれらのオランダ人女性が高齢に達していることを認識して、

  これらの女性の生活状況の改善を希望して、

  以下のとおり合意した。

第1条

事業の目的

  基金は、「従軍慰安婦」問題に関し日本の償いの気持ちを表すために、委員会が実施する先の大戦中に心身にわたる被害を受けたオランダ人戦争被害者の生活状況の改善を支援する事業(以下、事業とする)に対し、財政的支援を行うものとする。

第2条

事業の内容及び対象者

 1.委員会は、基金から供与された資金を使用して、この覚書と不可分の一体をなす別紙の事業実施要領に従い、事業対象者に対し、本人の実状と要望を考慮しつつ、その生活改善に資する医療・福祉分野の財・サービスを提供することを内容とする事業を実施するものとする。

2.事業対象者は、委員会が、第1条に述べられているように心身にわたり被害を受けたオランダ人戦争被害者のうち、第1条の目的に照らし事業対象とすることが適切と委員会が認める方とする。

第3条

資金の提供

 1.基金は、事業実施要領に従い、事業の実施に必要な資金として事務経費を含む総額2億5千5百万円を上限とする資金を事業実施期間中に委員会に供与する。

 2.委員会は基金から受領する資金の適正な管理及び使用を確保する。

第4条

協議及び報告

 1.委員会及び基金は、この覚書の実施に当たっては、相互に密接に協議するものとし、第3者に情報提供を行う場合(事業対象者の募集を含む)は、事前に他の当事者に対して、提供する相手方、提供する情報について通報するものとする。

 2.委員会は、基金に対し、事業の実施状況について年次報告書を提出するものとする。委員会及び基金は、事業実施に関する年次評価会合を開催する。

第5条

プライバシーの保護

  委員会及び基金は、事業実施に関し知り得た事業対象者及び申請者個人のプライバシーに関する情報を厳格に保護するものとする。

第6条

Safe-Guarding Clause

  基金は委員会が、委員会と基金との間で定めた合意事項及び覚書に沿って事業を実施している限りは、委員会に対し何ら問わないものとする。

第7条

最終規定

1.この覚書は、署名の日から効力を生じる。

2.この覚書は、3年間効力を有する。委員会及び基金のうちいずれか一方も、了日から6ヶ月以上前に書面による通告によりこの覚書を終了することができる。

3.この覚書の解釈及び実施につき紛争が生じる場合には、委員会及び基金は、委員会及び基金間の協議又は交渉を通じ友好的に解決するよう最大限努める。

4.この覚書は、日本法に準拠して作られた契約として、解釈され効力を有するものとする。委員会及び基金は、また、この覚書に関する法律上の紛争について、東京地方裁判所の管轄に服するものとする。

5.基金は委員会が事業を実施する際、事業対象者等の第三者とオランダ法に基づきオランダの裁判所において法律上の紛争を行うことに異議を申し立てることはないものとする。

6.この覚書は、委員会及び基金間の書面による合意により、必要な改正を行うことができる。

1998年7月15日に、デン・ハーグにおいて、英語により本書2通を作成した。

オランダ事業実施委員会のために 委員長

女性のためのアジア平和国民基金のために 副理事長