データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 在京アフリカ諸国大使との会見における宇野内閣総理大臣の発言

[場所] 
[年月日] 1989年6月16日
[出典] 宇野演説集,75−76頁.
[備考] 
[全文]

 私が、このように多くの大使とお会いするのは総理就任以来初めてでありますが、既に、何度もお会いした旧知の方が多いだけに、とりわけ嬉しく思う次第であります。

 私は外務大臣時代、日本を訪れた十三名のアフリカの指導者と意見交換を行いました。更に、本年二月の大喪の礼には、世界各国の代表に参列いただきましたが、特に、アフリカからは遠路にも拘らず、全ての国より代表を派遣いただき、私自身、二十か国の方と親しくお話しする機会を得ました。このような経験を通じ、私はアフリカ諸国の我が国に対する熱い友情と期待を痛感し、是非ともアフリカを訪問したいと希望し、出来ればこの六月にもアフリカ諸国を訪問する計画を立てておりました。

 私のこの希望は、残念ながら実行に移すことが不可能となりましたので、本日改めて、ご挨拶の機会を設けさせていただいた次第であります。

 他方、後任の三塚大臣には、機会を見て、是非アフリカを訪問するよう言い残して官邸に移って参りました。

 私は、外務大臣として培った経験をもとに、政治、経済協力、文化の各分野で現れつつある着実なアフリカとの関係強化の流れを助長し、日・アフリカ間に新しい時代を築きあげるためにできる限り努力すると共に、南アフリカ共和国のアパルトヘイト政策を早期に終息させるための国際的努力に積極的に参画してまいる考えであります。

 かかる仕事は、ご列席の皆様の協力なしには成し得ません。今後とも、是非貴重なご意見をたまわりたいと存じます。