[文書名] 陸上自衛隊ルワンダ難民救援隊の出発に当たっての村山内閣総理大臣の挨拶
ルワンダ難民救援隊の出発に当たり、その壮途を祝して、はなむけの言葉を申し上げます。
ルワンダ難民の問題は、日々伝えられているように、今なお極めて悲惨な状況にあります。現地では、その窮状を救うため、国際機関や各国政府、日本人を含むNGOの方々が文字通り献身的な活動を行っております。
政府は、難民のおかれている状況にかんがみ、また、この度の国連難民高等弁務官事務所からの更なる要請を受けて、これまでの資金と物資両面にわたる協力に加えて、人的協力を行うことといたしました。深刻な状況にあるルワンダ難民に救援の手を差し伸べ、地域の平和と安定に寄与することは、人道面での貢献と平和主義を重んずる我が国の責務と能力にふさわしいものであります。
政府は、今回、国際平和協力法に基づき、初めて人道救援活動の分野に本格的に取り組むことといたしましたが、この任務を成し遂げ得る能力を有する組織は、自衛隊をおいて他にないと考えます。
皆様は、現地において、今後約三か月にわたり医療・給水・防疫等の救援活動を組織的に展開されるわけですが、我が国の国際貢献の歴史に新たな一ページを加える名誉ある任務を担うという使命感をもって、日頃培われた能力を存分に発揮され、国民の期待に応えられることを切に希望いたします。
皆様の任地は、不慣れな土地柄の上、治安情勢も流動的であり、また、勤務環境、生活環境も厳しいものとなります。政府としては、もとより、皆様の安全と円滑な活動を確保するため、全力を挙げて支援を行う考えでありますが、皆様におかれても、健康と安全には十分留意されるようお願いいたします。また、留守を守るご家族のご苦労には、この場をかりて深く感謝申し上げたいと思います。
大任を果たし、つつがなくご帰還されることをお祈りし、また、この意義深い任務に従事される皆様に改めて敬意と謝意を表して、私のあいさつとさせていただきます。