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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 新たなアジア・アフリカ戦略的パートナーシップ行動計画に関する共同閣僚声明

[場所] ジャカルタ
[年月日] 2005年4月20日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

我々、アジア・アフリカ諸国の閣僚は2005年4月20日、アジア・アフリカ閣僚会議のためにジャカルタに集まり、

 1955年のアジア・アフリカ会議の最終コミュニケに掲げられたバンドン精神並びに原則及び国連憲章への我々のコミットメントを再確認し、

 共通のビジョンと信念、連帯、平等のパートナーシップ、共通のオーナーシップ、相互の尊重、利益並びに強みに基づく、アジアとアフリカの間の架け橋を構築する必要性を認識し、

 様々な国際会議や首脳会議の場で生まれた既存のイニシアティブ及び国際的に合意された開発目標とゴール、特に、ミレニアム開発目標、モンテレー合意、ヨハネスブルグ実施計画、ドーハ開発アジェンダ等を補完し、強化する重要性を強調し、

 共通の懸念の課題に取り組むために、技術協力、キャパシティ・ビルディング及び人材育成を強化する必要性を認識し、

 アジア・アフリカのパートナーシップ促進のためのNAASPにおける全てのアジア・アフリカの地域・準地域機関の明確かつ主導的な役割及び地域開発銀行並びに国連の地域経済委員会の補助的役割を強調し、

 実際的、制度的かつ持続可能な相互に恩恵のある協力分野を実現することを希望し、

これら目的のために、我々は、特に意義があると認める3つの幅広いパートナーシップの分野で以下の具体的措置を実施するよう努める。 

A.政治的連帯

1. 両地域における平和と安定の達成に資する、更なる政治協力と信頼醸成に不可欠な条件を促進する。

2. 対話の強化、予防外交、紛争解決及び紛争後の復興を含む平和的手段により紛争の予防及び解決に努める。

3. 紛争を予防し、政治的安定を促進し、また、平和維持・紛争後の平和構築の努力を支援する地域・準地域及び国のメカニズムを奨励する。

4. パレスチナ問題の平和的解決及び中東における恒久的平和を支援し、また、4者及び国際社会がロードマップの実施を確保することを要請する。

5. ベスト・プラクティス及び経験の共有等を通じて、民主主義的な制度及び国民の参加を強化する。

6. 対話とキャパシティ・ビルディングを通じて人権及び基本的自由を促進し、保護する。

7. 国際法に完全に従いつつ、あらゆる形態及び表現のテロと闘うため、また、その根底にある原因に取り組むための国際的、地域間の協力を強化する。

8. 両地域にて、法執行機関間のキャパシティ・ビルディングを通じて、資金洗浄、薬物不正取引、小型武器、特に女性、児童の人身取引といった、全ての側面の国境を越える犯罪と戦う。

9. 法の支配に基づく良い統治と統合の文化の促進を通じて、腐敗を防止し戦う。

10. 多数国間主義の強化、国際の平和と安全及び持続可能な開発の維持並びに促進における国連の役割の強化及び、アジア・アフリカ諸国の意志決定プロセスへの一層の参画と分担の確保を目的として、国連改革を促進する。

B.経済協力

1. アジア・アフリカ諸国が、グローバリゼーションから十分な恩恵を受け、また、成功裡に競争するために必要な能力を獲得するために重要な国際経済環境を創出する努力を支援する。

2. 持続的経済成長のための資金の動員、債務問題の解決、国際的に合意された革新的資金メカニズムの開発、資本市場協力、国際的開発支援フローの確保、市場アクセスの向上及び不公正で貿易を歪める補助金の是正、脆弱かつ不安定な一次産品価格の是正並びに投資の流れの拡大を通じて、貧困問題を集団的包括的に解決する。

3. アジア・アフリカ間の直接的な貿易及び投資を促進し円滑化する。

4. アジア・アフリカLDC諸国への自発的な相互主義でない市場アクセスを供与することに努めること等により、アジア・アフリカ諸国がその輸出について関心を有する産品の市場アクセスを向上することを通じて貿易自由化の恩恵を最大化する。

5. アジア・アフリカ諸国が世界経済に統合し、競争力を強化できるよう、効果的かつ対象を絞った、技術協力及びキャパシティ・ビルディング・プログラムを作成する。

6. 農業、水資源、水産及び林業の分野における協力強化を通じて、持続可能な開発、食料安全保障及び農村開発のために努力する。

7. 遺伝資源、伝統的知識及び民間伝承の保護の進展等による知的財産権の保護から生じる恩恵及び、貿易に関連した知的財産権に係る合意により提供される柔軟性から生じる恩恵を最大化する。

8. 教育、技能強化を通じ、また、ベスト・プラクティス及び経験の共有により、アジア・アフリカ諸国の中小企業間の協力を強化する。

9. 開発のために情報通信技術の潜在力を活用することを目的として、情報技術格差の是正、情報技術機会の創造、世界情報サミット等のイニシアティブへの支援のための協力を強化する。

10. 研究開発及びナノ技術、バイオ技術及びワクチン研究を含む関連技術の共有を促進する。

11. 地熱、バイオガス、太陽エネルギー、水力発電、平和目的の核エネルギーを含む持続可能なエネルギー資源及び技術の開発を促進する。

12. 両地域間の格差を一層埋めるために、海洋資源、海洋科学研究、洋上の航行の安全と通信、捜索救助活動を含めインド洋の共同探査を実施する。

13. アジア・アフリカ諸国間の貿易投資の流れの増加に資するように、民間部門間の一層の交流拡大を可能とするために、アジア・アフリカ・ビジネス・フォーラムの設置を奨励する。

C.社会・文化関係

1. 市民社会及び良い統治を充実させ、アジア・アフリカ諸国の社会において協力が様々なレベルに到達することを確保するように、更に人的交流を促進する。

2. 社会における相互理解と寛容を通じて平和と開発を促進するために、異宗教間対話を含む文明間対話を強化する。

3. 文化交流、我々国民の文化遺産の保存と修復及び文化対話フォーラムの設置等を通じて、多様な文化及び社会の相互理解を促進する。

4. 人的資源の能力を強化し、非識字を克服し、生活の質を向上させるように、青年、男女平等、教育、科学技術を進展する。

5. 公衆・地域社会衛生の進展、調整され持続的な国際的対応及び入手可能な価格での薬品の利用可能性の拡大に基づき、予防、治療、保護を通じてHIV/AIDS、結核、マラリア及びその他の様々な感染症・伝染病と闘う。

6. アジア・アフリカ諸国の生活様式に関するより多くの知識と情報の共有を促進するために、メディアの役割を強化する。

7. 資源、技能及び知識の蓄積を共有及び拡大し、また、奨学金及び交流のメカニズムを開発するために、既存の地域、地域間及び国際機関との連携を含め、アジア・アフリカにおける大学、図書館、研究所、中核的研究機関間のネットワークを開発する。

8. 再生不能な天然資源の責任のある利用、環境上適正な技術の移転等を通じ、環境保護向上のための協力を構築する。

9. 地域社会の社会文化的慣行と権利を尊重し保護しつつ、生物多様性の管理及び保全の向上に努める。

10. 自然災害により良く対処し、軽減するための現在の努力と付随して、緊急準備メカニズム及び早期警戒システムを創設する努力を進展させる。

 我々は、アジア・アフリカ準地域機関(AASROC)閣僚作業グループ及びAASROC IIにより定められたとおり、調査を実施した諸国及び機関の努力を評価する。我々は、我々の協力を進めるための具体的な提言を提示するための準地域機関の検討に満足の意を表明する。

 我々は、第1回アジア・アフリカ・ビジネス・サミットの開催を通じ、より緊密な経済協力を促進するビジネス界の努力を歓迎する。我々は、継続的進展と我々のビジネス界の間の進展と交流の継続を期待する。

 我々は、アジア・アフリカ協力促進のための女性と青年の役割に関するワークショップ及び再生可能エネルギーに関するアジア・アフリカ・シンポジウムの結果を評価する。 我々は、アジア・アフリカ間の友好の相互の絆を祝して、アジア・アフリカ村を設立するために、インドネシアのバンドンの地を提供した西ジャワ州政府の寛大さを歓迎する。

 我々は、感謝の意をもってインドネシア及び南アフリカの共同議長ぶり及びインドネシア共和国の政府と国民による暖かいもてなしと会議のための素晴らしい手配に留意した。