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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] キューバ問題に関する池田勇人首相に対するケネディ米大統領書簡

[場所] 
[年月日] 1962年10月22日
[出典] 日本外交主要文書・年表(2),424ー425頁.外務省所蔵文書.
[備考] 
[全文]

池田総理大臣閣下

 キューバの危険な情勢の展開及び私がとることを許した行動に関して、私が今夜行ないます演説の写を、貴総理大臣にライシャウァー大使が直接お渡しするように、同大使に命じておきました。

 ソ連政府がキューバに秘密裡に攻撃的な核ミサイル基地を設置したことについては、疑問の余地のない正確な証拠があります。さらに、追加的基地を作るため広範囲の作業が進められております。詳細につきましては、ワシントン駐在の貴国大使が説明をうけるでしよう。このソ連の行動は、防禦的な武器のみがキューバに供給されつつあるというフルシチョフ氏の言葉(このことは数日前グロムイコ外相が私に直接確認したばかりですが)に直接違背してとられつつあります。

 1カ月前に私は「もし、キューバにおける共産主義の軍事的準備がソ連にとつて意義ある力をもつた攻撃的軍事基地になることありとすれば、そのときには、わが国は自己の安全と同盟国の安全の保護のためなされるべきことをなすだろう。」と公言したことを貴方は記憶しておられるでしょう。従つて、キューバにおけるソ連政府の攻撃的なミサイル装備の増設を防止するため、直ちに核検疫措置をとることが必要であります。私はこの行動がすでに設置されている攻撃的ミサイルの除去にまで至るであろうということも信じております。

 私は、フルシチョフ氏に対し、私はわれわれが平和的交渉の途を再開することができることを希望すると述べました。私は、また、国連安保理事会の緊急会議を要請しつつあります。私はスティーブンソン大使に対して、国連のオブザーヴァーの監視の下に、キューバにあるミサイル基地及び他の攻撃的武器の撤去を求める決議を米国のために提出するよう命じました。これが成立すれば、米国は上述の検疫を停止することができます。私は、貴総理がニューヨークの貴国代表に訓令して、国連において、米国代表と積極的に協力し、前記の計画を全面的に支持する発言をさせられるよう希望します。

 国務省は、情勢の展開につき、すべて貴国大使に通報するでありましよう。

ジョン・F・ケネディー