[文書名] 日加閣僚委員会第二回会合共同コミュニケ
一 日加閣僚委員会の第二回会合は昭和三十八年九月二十五日および二十六日の両日オタワで開かれた。
二 この会合の日本側代表は赤城宗徳農林大臣、田中角栄大蔵大臣、福田一通産大臣、島重信外務事務次官および牛場信彦駐カナダ日本大使であった。
三 カナダ側代表はポール・マーテン外務大臣、ウォルター・エル・ゴードン大蔵大臣、ミッチェルシャープ通商大臣、ハリー・ダブリュー・ヘイズ農業大臣、H・J・ロビシヨー漁業大臣およびR・Pバウアー駐日カナダ大使であった。
四 両国閣僚は共通の関心事たる国際上の諸問題、特に部分的核実験停止条約署名後の世界情勢および現在のアジア情勢に関し、意見の交換を行なった。委員会は日加両国が相互に協力して核実験の停止を主唱してきたことに鑑み、今回部分的核実験停止条約が署名されるに至ったことを歓迎した。委員会は今後とも自由主義諸国が緊密な協調を維持することにより関係国の間に奇襲防止の諸措置および有効な国際的検証を伴なう一般的かつ完全な軍縮の実現等の手段を通じ国際緊張を軽減するための努力が続けられることを希望した。委員会はまたアジアにおける不安定な諸情勢について関心を表明し、日加両国が太平洋を狭む隣国としてこの地域における安全と福祉を増進するため協力することに意見の一致をみた。また両国閣僚は国際連合が今後も引続き国際問題の解決のために重要な役割を果すであろうとの確信を再確認した。両国閣僚は現在開会中の国連総会に於て国際連合の財政状態を改善するための諸措置が取られることを希望した。
五 委員会は日加両国が共に関心を有する世界経済の諸問題につき討議を行なった。両国閣僚は関係諸国の間で近く開催を予定されている多数国間ガット貿易交渉の重要性につき意見の一致を見、更に両国と第三国との通商関係に関し意見を交換した。目下のカナダ小麦の輸出増大に関し両国閣僚はカナダ小麦の最も安定した伝統的な市場の一つとしての日本の重要性を再確認した。カナダ側閣僚は日本のOECD参加を歓迎し日本側閣僚は、カナダ政府が日本のOECD加盟について与えた支持に対し感謝の意表明した。両国閣僚は両国のOECD参加を通じ日加両国の協力関係が更に強化されることを希望した。
六 委員会は低開発諸国の経済的発展を援助するため国際的努力を継続することの重要性を認め、両国閣僚はそれぞれ自国の援助計画について説明した。両国閣僚は発展途上にある諸国にとって貿易の機会を増進することの持つ重要性を強調した。
七 委員会は両国間の現在の貿易経済関係について充分に討議した。委員会は両国間貿易の重要性を認識し、かつ両国相互に有利な貿易が一層拡大される見通しがあることに同意した。
また、商品は多様化することにより日本の対カナダ輸出が一層拡大改善されるであろうこと、殊にカナダの生産と競合しない生産物の分野でそうであることを認めた。委員会はまた、日本の輸入自由化計画の進展に注目し、同計画に伴いカナダの対日輸出の機会がさらに増大するであろうとの見通しを表明した。委員会はまた、民間投資による合併事業が両国の通商関係の一層の緊密化に寄与するであろうことを認めた。
八 委員会は日本品のカナダ向け輸出規制に関する交渉の期間を縮減するため交渉の方向を改善する必要があることに同意した。
九 両国閣僚は自国の経済情勢および今後の見通しにつき概略を説明し、それぞれの政府が自国の経済成長を促進しうるためにとっている諸政策を説明した。
十 両国閣僚は漁業問題について意見の交換を行い、漁業資源の保存と開発に関する相手国政府の基本的立場につき一層理解を深めた。
十一 委員会は日本とカナダとの間の二重課税防止のための条約交渉が近くオタワで開催されることを歓迎し、同条約が速やかに締結され、両国間の経済関係が強化されることを希望した。
十二 両国閣僚は本委員会の会合が日加両国間の相互理解の増進に寄与したことに満足の意を表明した。
十三 委員会は次回会合を東京で開きたいとの日本政府の申出を受諾した。