[文書名] 技術協力に関する日本国政府とブラジル連邦共和国政府との間の基本協定
技術協力に関する日本国政府とブラジル連邦共和国政府との間の基本協定
(昭和46年8月4日外務省告示第145号)
昭和45年9月22日にブラジリアで、次の技術協力に関する日本国政府とブラジル連邦共和国政府との間の基本協定の署名が行なわれ、この協定は、昭和46年7月15日に効力を生じた。
技術協力に関する日本国政府とブラジル連邦共和国政府との間の基本協定
日本国政府及びブラジル連邦共和国政府は、技術協力の促進により両国間に存在する友好関係を一層強化することを希望し、また、両国の経済及び社会発展を促進することがもたらす相互の利益を考慮して、次のとおり協定した。
第1条 両政府は、両国間の技術協力を促進するよう努力する。
第2条 両政府は、相互に合意する個別の技術協力計画を実施するため、交換公文その他類似の形式により補足取極を締結する。
第3条 日本国政府は、この協定の目的を達成するため、日本国において施行されている法令に従い、かつ、第2条の取極に基づき、自己の負担で次の措置をとる。
(i) 日本国における技術訓練のための研修手当をブラジル国民に支給すること。
(ii) 日本人の専門家をブラジルに派遣すること。
(iii) 設備、機械及び資材をブラジル連邦共和国政府に供与すること。
(iv) ブラジルの経済及び社会開発計画を調査するため調査団をブラジルに派遣すること。
(v) 相互に合意するその他の形の技術協力を行なうこと。
第4条
(1) 日本国政府が派遣する専門家は、ブラジル連邦共和国政府が指定する機関を通じ、同政府と緊密に連絡を保つものとし、その任務遂行に必要な同政府の指示に従う。
(2) ブラジル連邦共和国政府は、第3条(i)に規定する日本の技術協力の結果としてブラジル国民が取得した技術及び知識がブラジルの経済及び社会発展に寄与することを確保する。
第5条
(1) 日本国政府が第3条(ii)の規定に従い専門家を派遣する場合には、ブラジル連邦共和国政府は、自己の負担で次の措置をとる。
(i) 専門家の任務遂行に必要な事務所その他の施設を提供し、かつ、その維持費を負担すること。
(ii) 専門家の任務遂行に必要な現地要員(専門家に対応するブラジル人要員を含む。)を提供すること。
(iii) 専門家の次の諸経費を負担すること。
(a) 通勤費
(b) ブラジル内の公用出張旅費
(c) 公用通信費
(2) ブラジル連邦共和国政府は、同政府が補足取極中に指定する機関を通じ、(1)の専門家及びその家族に対し、次のものを提供する。
(i) 現地の条件及び前記の機関の財政能力を考慮したうえ適当な家具付住宅
(ii) 職務の結果又は現地の環境条件の結果生ずる事故又は疾病に対する無料の医療便宜
第6条
(1) 日本国政府がこの協定の補足取極に従いブラジルに派遣する専門家は、その到着後6箇月の間に行なう次のものの輸入に関し、輸入許可、為替証明、領事手数料及び関税その他課徴金を免除される。ただし、特定の役務の提供の対価である料金は、この限りでない。
(i) 専門家及びその家族の携帯荷物
(ii) 専門家及びその家族用としてブラジルに持ち込まれる身回品、家財及び消費財で、ブラジルの現行の法令によって認められるもの
(iii) 専門家用として専門家又はその配偶者名義で輸入される自動車1台(ただし、専門家がブラジルに1年以上滞在する場合に限る。)。自動車の輸入許可は、日本国大使館の事前の申請があり次第ブラジル外務省により発給される。
自動車1台を輸入する前記の権利は、ブラジルで生産された自動車1台をブラジルにおいて施行されている法令に従って与えられる特別の条件の下で購入する権利と代えることができる。ブラジルに輸入された自動車は、ブラジルにおいて施行されている法令に従って売却又は譲渡することができる。
(2) ブラジル連邦共和国政府は、現行の国内法令に従い、前記の物品の輸出につき同様の便宜を(1)の専門家に与える。
(3) ブラジル連邦共和国政府は、また、次の措置をとる。
(i) 専門家及びその家族に対し出入国査証を無料で、かつ、申請次第すみやかに発給すること。
(ii) 専門家及びその家族に対し身分証明書を交付し、かつ、専門家の任務遂行のために必要なすべての政府機関の協力を確保すること。
第7条 ブラジル連邦共和国政府は、日本国政府が派遣する専門家のこの協定の補足取極に定める任務の遂行に基因し、その遂行中に発生し、又はその他その遂行に関連する専門家に対する請求が生じた場合には、その請求に関する責任を負う。ただし、両政府が、その請求が専門家の重大なる過失又は故意から生じたことを合意した場合は、この限りでない。
第8条 日本国政府がこの協定の補足取極に従って派遣する専門家は、1964年12月29日にリオ・デ・ジャネイロで署名されたブラジルと国際連合、その専門機関及び国際原子力機構との間の技術援助基本協定に規定される特権、免除及び便宜を与えられる。
第9条
(1) 日本国政府が第3条の規定に従ってブラジル連邦共和国に供与する設備、機械及び資材は、陸揚港においてCIF建てでブラジルの関係当局に引き渡された時にブラジル連邦共和国政府の財産となる。これらの設備、機械及び資材は、両政府が合意した技術協力の目的のために使用される。
(2) (1)の設備、機械及び資材は、そのブラジルへの輸入に際し、輸入許可及び為替証明並びに関税、領事査証料その他課徴金を免除される。
(3) (1)の設備、機械及び資材のブラジル内の輸送及びその補充のための費用は、ブラジル連邦共和国政府が負担する。
(4) 第3条(ii)及び(iv)の専門家及び調査団がその任務用に携行する設備、機械及び資材は、別段の合意がある場合を除くほか、日本国政府の財産であり、(2)に規定する免除に加えて、ブラジルにおいて課されることがある内国税その他課徴金を免除される。これらの物品の再輸出を容易にする措置がとられる。
(5) (4)の設備、機械及び資材のブラジル内の輸送のための費用は、ブラジル連邦共和国政府が負担する。
第10条 両政府は、必要な場合には、この協定の実施から生ずるいかなる事項についても協議を行なう。
第11条
(1) この協定は、日本国政府がブラジル連邦共和国政府からこの協定の効力発生のために必要な手続を終了した旨の通告を受領した日に効力を生ずる。
(2) この協定は、1年間効力を有するものとし、いずれか一方の政府が他方の政府に対し少なくとも6箇月の予告をもって協定を終了させる意思を書面により通告しない限り、毎年自動的に1年ずつ更新される。
以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けて、この協定に署名した。
1970年9月22日にブラジリア市で、英語によって本書2通を作成した。
日本国政府のために 愛知 揆一
ブラジル連邦共和国政府のために マリオ・ギブソン・バルボーザ