[文書名] 鈴木内閣総理大臣のペルー共和国公式訪問に際しての共同新聞発表
1.鈴木善幸日本国総理大臣は,ペルー政府の招待により6月10日から12日までペルーを公式に訪問し,フェルナンド・ベラウンデ・テリー・ペルー共和国大統領と会見したほか,マメエル・ウヨア・エリアス閣僚会議議長兼経済・財政・商業大臣,ハビエル・アルバ・オルランディーニ上院議長,ハビエル・アリアス・ステラ外務大臣及びエドアルド・オレゴ・ヴィリャコルタ・リマ市長と会談した。
総理大臣は,リマ市に滞在中,リマ市議会より貴賓宣言を受けたほか,独立功労者像への献花を行い,「オノリオ・デルガード=野口英世国立精神衛生研究所」の開所式に出席し,また,日本移住史料館を訪問した。
2.総理大臣とペルー政府首脳は,二国間の問題及び国際政治経済情勢につき極めて友好的な雰囲気の下で会談した。
3.総理大臣と大統領は,両国政府が国際連合憲章の原則を支持することを再確認するとともに,国際連合に対し,その目的を完全に達成するため今後とも最大限の協力を行う決意を表明した。
4.総理大臣は,第8回先進国首脳会議の成果及び第2回国連軍縮特別総会につき説明したのに対し,大統領は感謝の意を表明した。
5.総理大臣は,ペルーの民主主義体制がベラウンデ大統領の卓越した指導の下で着実に運営され,民生の安定向上並びに経済社会の開発が順調に進められていることを高く評価した。
6.両国首脳は貿易並びに経済,技術,科学,文化の分野における協力を増進する可能性につき検討した。
二国間の問題に関する右会談は,伝統的な友好関係を基盤に極めて良好な状態にある日秘関係を反映したものとなった。
7.大統領は,日本のペルーに対する経済技術協力が近年順調な進展をみていることを強調しつつ,日本がペルーの経済社会開発に対して貢献していることを高く評価するとともに,両国関係が将来一層発展することを希望した。
かかる観点から総理大臣は,ペルーの効果的な開発のために,今後とも可能な限りの経済技術協力を行っていきたいと考えている旨述べた。
8.総理大臣は,両国間の経済協力関係を一層強化する観点から,中部漁港建設計画に対し47億3,700万円までの円借款が供与されるよう所要の措置をとる意図があり,国営テレビ放送拡充計画については,前向きに検討する用意がある旨述べると共に,今後も良好な案件があれば,引き続き円借款の供与につき検討したい旨述べた。
9.同様に,総理大臣は,農業機械等の農業関連物資による食糧増産のための3億円を限度とする無償援助及びペルー国民の食生活改善に資するための水産物利用開発計画に対する無償援助が供与されるよう所要の措置をとる用意がある旨表明した。
10.総理大臣は,日本がペルーに対し,鉱業,通信,漁業,保健・医療等の分野において技術協力を年々増加してきていることに満足している旨明らかにするとともに,日本国政府は太陽観測用機器を供与し,また,ペルーに存する酸化銅鉱の有効利用のための技術協力を開始する用意がある旨述べた。
11.総理大臣とペルー政府首脳は,両国間の文化交流が果たす重要な役割を再確認するとともに,両国民間の相互理解を増進するために芸術,スポーツその他の文化の分野における交流を推進する必要を認め,文化協定の締結に関する交渉を開始することに意見の一致をみた。また,総理大臣は,ペルーにおける芸術振興に寄与するための機材をペルーに供与するために所要の措置をとる用意がある旨表明し,大統領はこれを歓迎した。
12.大統領は,総理大臣の今回の訪問が両国民間に存在するあらゆる分野における緊密な関係の強化に役立ち,かつ,両国首脳間の個人的な友好と信頼の関係を確立することに貢献したことに深い満足の意を表明した。
13.鈴木総理大臣は,リマ市滞在中,総理大臣及び一行が受けた温かい歓迎に深甚なる感謝の意を表明するとともに,ベラウンデ大統領が日本国を公式訪問す
るよう招待した。この招待は感謝の念をもって受諾された。日本国訪問の具体的時期は外交経路を通じて決定される。