データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] オノリオ・デルガード=野口英世国立精神衛生研究所開所式における鈴木内閣総理大臣の挨拶

[場所] リマ
[年月日] 1982年6月11日
[出典] 鈴木内閣総理大臣演説集,211−212頁.
[備考] 
[全文]

 ベラウンデ大統領閣下

 ポンセ厚生大臣閣下

 御列席の皆様

 本日ここにポンセ厚生大臣主催の下に開催されました「オノリオ・デルガード=野口英世国立精神衛生研究所」の開所式にベラウンデ大統領閣下とともに出席する機会を得ましたことは、私の最も光栄と存ずるところであります。

 我が国とペルーとは、同じ太平洋圏に属する国家として、以前から強い友好の絆で結ばれております。この日秘両国の関係は、近年、貿易、経済、文化等より広い基盤の上に着実に発展を示し、特に経済・技術協力の分野において、とみに緊密化の度を加えつつあります。本日のオノリオ・デルガード=野口英世国立精神衛生研究所の開設もその証左の一つと申せましょう。

 我が国は、ペルーに対する無償資金協力プロジェクトの一つとして、この研究所の建設に協力し、更にこの研究所の要員訓練計画等に技術協力を行っておりますが、この研究所を通じ、ペルー国民の福祉向上に多少なりとも貢献できれば、この上ない喜びであります。

 本研究所の名に冠せられております野口英世博士は日本人の間で最も尊敬されている人物の一人で「人の為に生き、人の為に死んだ」偉大な医学者でありました。日本を代表するこの医学者とペルーの代表的な精神病学者であるオノリオ・デルガード博士の名を冠した本研究所は、まさに日秘両国の友好協力関係を示すシンボルといえるかと思います。

 我が国としては、今後とも、友好国ペルーの民生の安定と国民生活の向上のため引き続き積極的に協力を進めていく所存であります。

 終わりに、本研究所の発展とペルー共和国の益々の繁栄を祈念いたします。