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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 科学技術の分野における協力に関する日本国政府とブラジル連邦共和国政府との間の協定(日伯科学技術協力協定,日・ブラジル科学技術協力協定)

[場所] 
[年月日] 1984年5月25日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

科学技術の分野における協力に関する日本国政府とブラジル連邦共和国政府との間の協定


 日本国政府及びブラジル連邦共和国政府は、

 近年科学技術の分野における両国間の協力の重要性が増大していることを認め、

 そのような協力がそれぞれの国の経済及び社会発展に貢献することを信じ、

 そのような協力を一層促進することを目的として、

 次のとおり協定した。


   第一条

 両政府は、平等及び相互利益の原則の下に、両政府間の科学技術分野における協力を促進する。そのような協力は、相互に合意される科学技術の分野において両政府の間で行われる。


   第二条

 この協定に基づく協力活動の形態には、次のものを含めることができる。

 (a) 科学技術に関する討議及び情報の交換を行うための各種の形態の会合

 (b) 科学者及び技術者の派遣及び受入れ

 (c) 科学技術に関する情報の交換

 (d) 科学的研究及び技術的開発のための合同計画又は協調計画の実施

 (e) 相互に合意されるその他の形態の協力


   第三条

 両政府は、この協定の目的を達成するため、日本国とブラジルの科学技術協力に関する合同委員会(以下「委員会」という。)を設置する。委員会は、外交上の経路により決定される日に日本及びブラジルにおいて交互に会合する。


   第四条

1 委員会は、次の任務を有する。

 (a) この協定の実施に関する主要な政策事項を討議すること。

 (b) この協定の実施の進展状況を検討すること。

 (d) この協定に基づく協力の増進を確保するための特定の措置に関し両政府に提案すること。

2 委員会の会合が開催されていない期間中の委員会の任務に関する連絡は、外交上の経路により行われる。


   第五条

 この協定に基づく特定の協力活動の細目及び手続を定める実施取極は、両政府又は両政府の機関のいずれか適当なものを当事者として行うことができる。これらの実施取極は、それぞれの政府の行政上の慣行に従つて行われる。


   第六条

 各政府は、他方の国の国民に対し、この協定に基づく活動の遂行に必要な便宜を与える。


   第七条

 この協定は、それぞれの国において施行されている法令に従つて実施される。


   第八条

 この協定のいかなる規定も、両政府間の協力に関する他の取極でこの協定の署名の日に存在するもの又はその後締結されるものに影響を及ぼすものと解してはならない。


   第九条

1 この協定は、日本国政府がブラジル連邦共和国政府からこの協定の効力発生のために必要な手続を終了した旨の通告を受領した日に効力を生ずる。この協定は、二年間効力を有するものとし、その後は、2の規定に定めるところによつて終了するまで効力を存続する。

2 いずれの一方の政府も、六箇月前に他方の政府に対して文書による予告を与えることにより、最初の二年の期間の満了の際又はその後いつでもこの協定を終了させることができる。

3 この協定の終了は、この協定に基づいて行われ、かつ、この協定の終了の時までに実施を完了していないいかなる計画の実施にも影響を及ぼすものではない。

 以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの協定に署名した。

 千九百八十四年五月二十五日に東京で、ひとしく正文である日本語、ポルトガル語及び英語により本書二通を作成した。解釈に相違がある場合には、英語の本文による。


 日本国政府のために

   安倍晋太郎

 ブラジル連邦共和国政府のために

   R・S・ゲレイロ