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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「メキシコ市の賓客宣言」及び「市の鍵」贈呈式における橋本内閣総理大臣の挨拶

[場所] メキシコ
[年月日] 1996年8月21日
[出典] 橋本内閣総理大臣演説集(上),219−220頁.
[備考] 
[全文]

オスカル・エスピノーサ・ビジャレアル連邦区長官閣下、

ご列席の皆様、

 ただ今は、メキシコ市の賓客としてご宣言いただき、誠に光栄に存じます。

 私は今回メキシコを訪問することを大変楽しみにしておりました。と申しますのも、メキシコには沢山の友人がいるからであります。また四年前にメキシコ市を訪問した際に、メキシコ市が活力溢れる美しい街であり、先スペイン時代から植民地時代、現代に至る三つの時代の文化が見事に調和した魅力的な街であることを知ったからであります。本日は、エスピノーサ・ビジャレアル連邦区長官という新たな友人と知己を得、この一五三二年に建設が始まったというメキシコ市でも最も古い建物のひとつである由緒ある市庁舎におきまして、「市の鍵」の贈呈をいただいたことに心から感謝申し上げる次第です。しかし、私としましては賓客というよりは、むしろ私もカピタリーノ(首都の市民)の仲間に加えていただいたと思いたく存じます。

 明年は日本人のメキシコ移住百周年という日墨両国関係にとり歴史的な年を迎えますが、このメキシコ市でも多くの日本人、日系人が各方面で活躍していると伺っており、喜びを禁じ得ません。これら日本人、日系人を暖かく見守って下さっているエスピノーサ・ビジャレァル連邦区長官、そしてすべてのメキシコ市民の皆様に改めて感謝申し上げる次第です。

 さて、メキシコ市は人口二千万人ともいわれる世界最大の都市のひとつですが、大都市に共通の人口、住宅、環境などの問題を課題として抱えていると承知しています。本日午後、日本政府とメキシコ政府の問で、首都圏における環境分野での協力のための資金協力に関わる文書への署名が行われる予定ですが、私は今後ともカピタリーノのひとりとして、メキシコ市に関心を抱き続け、できる限りの協力をさせていただきたいと存ずる次第でございます。

 本日頂きました栄誉に対し、重ねてお礼申し上げるとともに、メキシコ市のますますの発展と市民の皆様のご多幸を心からお祈り申し上げます。

 ムーチャス・グラシアス(ありがとうございました)。