[文書名] ペルー在留邦人・日系人代表との懇談会における橋本内閣総理大臣の挨拶
ご列席の皆様、
この度、ペルーを再び訪問できたことを心から喜んでおります。三年前に訪問して以降、「ペルーが大きく変わった。一層繁栄している。」との声を聞く度に、その変化したペルーを再度訪問し、フジモリ大統領とも親しくお話ししたいと思っておりましたが、今回その希望が実現し、また、皆様とも親しくお目にかかる機会ができたことを嬉しく思っております。
本日午前中に行いました首脳会談においては、ペルー国民が団結して経済的困難や治安面での問題を克服しておられることに対し、我が国国民は心から敬意を表していることを大統領に申し上げました。
ペルーが躍進を遂げているとの声は国際的にも多く聞かれますが、本日市内視察の折に見かけた人々の表情が明るく、自信に満ちていたことが極めて印象的であり、国民がペルーの将来に対して希望を持っている証だと思いました。
このようなペルーの躍進の影には、日系人の皆様のご活躍があることは明らかであります。特に、この数年間は、日系人の皆様の政・財・官界での活躍には目を見張るものがあります。また、ここにお集まりの我が国企業の代表の皆様が、日夜我が国とペルーの経済交流促進のために並々ならぬ努力をされておられることに、深く感銘しております。
ペルーの日系人の皆様の中には沖縄県出身の方々が多数おられ、一週間余り前には大田沖縄県知事一行を迎えて沖縄県人ペルー移住九十周年の記念行事が盛大に行われたと伺っております。さらに、三年後の一九九九年四月には、第一次の移民船「佐倉丸」がペルーに到着してから百周年を迎えますが、既に日系人協会の中に祝賀準備委員会ができ、記念行事の開催のため種々のアイデアが出されていると伺っております。この百周年が有意義なものとなり、新たな百年に向けての友好関係の強化につながるよう、心より希望いたします。
ペルーは、近年、アジア太平洋地域との関係緊密化に力を入れており、APECへの参加に強い希望を持っていることは、皆様もご承知のことと思います。我が国はこれまでもペルーとの友好協力関係の増進に努めてきましたが、今後はアジアに目を向けるペルーとの関係を従来にも増して大切にし、二十一世紀に向けた環太平洋地域におけるパートナーシップを構築してゆきたいと考えております。
皆様におかれましては、日系人の立場から、そして日本企業代表の立場から、このようなアジアに向けたペルーの視線に敬意を表しながら、両国国民の友好関係増進のため、今後一層ご活躍されることを祈念いたします。