[文書名] 米州開発銀行及び日本輸出入銀行主催の第5回日本とラテンアメリカ諸国経済交流促進シンポジウムにおける橋本総理大臣挨拶
御列席の皆様、
本日は、「第5回日本・ラ米諸国経済交流促進シンポジウム」開催に当り、御挨拶させていただく機会を得ましたことを誠に光栄に存じます。
私はまず最初に、このシンポジウムにご参加のため遠路はるばる訪日いただいたフジモリ・ペルー共和国大統領閣下、サンギネッティ・ウルグアイ東方共和国大統領閣下、イグレシアス米州開発銀行総裁閣下をはじめとする全ての参加者の皆様に心から歓迎の意を表したいと思います。また同時に、このシンポジウム開催に御尽力いただきました米州開発銀行の皆様方、保田総裁をはじめとする日本輸出入銀行の関係者の方々に厚く御礼申し上げたいと思います。
このシンポジウムは96年8月に私が中南米5カ国を訪問しました際に、日本と中南米諸国との新しいパートナーシップを構築せんとの考えから提案させていただいたものでありますだけに、本日このように多数の各国要人の皆様方の御参加を得て開催されましたことを真に嬉しく思います。
私が大蔵大臣であった7年前に米州開発銀行名古屋総会が開催されましたが、当時の経済状況を思いおこしますと、近年の中南米諸国の発展振りには目を見張るものがございます。各国が民主主義の基盤をより強固なものとされたことに加え、長期にわたる真摯な構造改革努力により、インフレの鎮静化、安定的経済成長という健全なマクロ経済状況を達成されておられます。私は中南米経済の発展に果たした米州開発銀行の役割を高く評価するとともに、日本輸出入銀行が協調融資等を通じ、同地域の発展に積極的に貢献してまいりましたことを嬉しく思います。また、中南米諸国においては、北米自由貿易協定あるいはメルコスールに代表される地域経済統合及び民営化の進展により投資機会も顕著に増大してきております。まさに今や中南米諸国は21世紀の地球社会の発展にとり鍵を握る地域と申せましょう。私は中南米諸国と日本を含むアジアとの相互依存関係が並々強まってきている今日、両者の関係を双方の実力と潜在力に見合ったより一段高いレベルのものとする意味で、今次シンポジウムの開催は極めて有意義かつ時宜を得たものと確信いたします。
わが国の経済は、バブル崩壊以来内外の悪条件が重なり、依然として停滞しています。政府としましては、現下の深刻な経済を立て直し、再び活性化させることを目指して、不良債権問題の解決による金融システムの安定、内需主導の経済成長の実現、市場の開放と規制緩和のために最大限の努力を払ってまいる所存であります。こうした努力は、わが国のみならず中南米諸国を含めた世界経済全体にとっても極めて重要であるものと考えています。
本来であれば、私はできるだけ多くのセッションに出席し皆様の御意見を是非とも拝聴させていただきたいと考えていたのでありますが、参議院議員選挙に向けた国内遊説のため、慌ただしく退出せざるを得なくなりましたことをまことに心苦しく存じます。この点ぜひ皆様方の御理解を賜りますようお願い申し上げます。
しかしながら、先にも申し上げました通り私は中南米諸国は21世紀の地球社会発展の鍵を握る地域であると確信しております。私といたしましてはこのことを常に念頭に置き同地域と日本との間の「新時代のパートナーシップの構築」を確実なものとするため、今後とも全力を尽くす決意であることをこの場を借りて改めて皆様に申し上げさせていただき、私の御挨拶とさせていただきます。
有り難うございました。