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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日中正常化のための北京会談提唱の沈平総領事書簡

[場所] 
[年月日] 1955年8月17日
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),722頁.外務省アジア局中国課監修「日中関係基本資料集」,90−2頁.
[備考] 
[全文]

 田付景一殿

 あなたから七月十五日に渡された書簡は,わたくしからすでに本国政府に伝達いたしました。

 七月十六日に,日本の外務省はまたも公報を発表しましたが,この公報には,書簡で提起されている各種の問題がふくまれています。

 あなたから渡された書簡と,日本の外務省の上述の公報につきましては,中華人民共和国外交部のスポークスマンが,八月十六日に声明を発表いたしました。ここに右声明の写しを一部添えておきますから,あなたから貴国政府に伝達して下さるよう要請いたします。

 中日両国関係の正常化を促し,あわせて国際情勢を引続きやわらげる上に寄与するため,中国政府は,中日両国政府が両国の貿易についての問題,双方の居留民の問題,両国人民が相互に往来する問題,およびその他両国人民の利益に関係のある重大な問題について話合いを行うことが必要であると考えます。もしも日本政府が同様の希望をもつておられるならば,中華人民共和国政府は,日本政府の派遣する代表団と北京で会談を行うことを歓迎いたします。わたくしは,わが国政府の上述の提案を,あなたが日本政府に伝達されることを求めるものであります。

 中国政府は,日本政府の回答をまつています。

   一九五五年八月十七日

  ジュネーブ駐在中華人民共和国総領事

                沈 平