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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 中国邦人未帰還者問題に関する外務省情文局長の談話

[場所] 
[年月日] 1957年5月15日
[出典] 日中関係基本資料集、115‐116頁.
[備考] 
[全文]

 ジュネーブ駐在佐藤総領事は五月十三日、日本政府の作成した未帰還者名簿を同地駐在沈平中共総領事に手交してこの資料に基き、生存が判明したものについては、帰国の意思の有無その他の現況、死亡したことが判明した者については、死亡時の状況等について出来る限りの調査方を依頼したところ、沈平総領事はこれを本国に送付する旨を約した。

 この名簿には日本政府に未帰還として登録されている三万五千七百六十七名の氏名と各人の最終消息とが記されている。このうち一九四九年以降に消息のあったものは五千六百八十九名であり、他は一九四八年以前の消息はあるが以後の消息のないものである。従って中共当局において調査が行われる場合にも古い資料のものが多いので、その調査はなかなか容易でなく、又、既に早く死亡していることが判明する場合も多いものと考えられる。併し、日本政府としては、現在まで以上の資料を得ることは極めて困難であるので、中共当局において人道的好意により今回依頼した名簿を手掛りに調査が行われ、少しずつでも新しい資料が発見される事を期待している。