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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 中国の禁漁区設置に関する往復書簡

[場所] 
[年月日] 1957年8月10日
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),817−818頁.外務省アジア局中国課監修「日中関係基本資料集」,121−2頁.
[備考] 
[全文]

 中共の禁漁区命令の補充規定に関する中国漁業協会の通告書簡

       中国漁業協会

        主 任 楊●{火へんに上が日で下が立}

        副主任 高 樹 頤

 日中漁業協議会会長 平塚常次郎先生

 本会は中華人民共和国水産部から,中華人民共和国国務院の一九五七年七月二十六日総周字第五三号をもつて公布した「渤海,黄海およぴ東海の機船底曳網漁業禁漁区の命令についての補充規定」の通告をうけました。

 近来北緯二九度以南の海面は治安状況が好転し,漁業生産も次第に復活してきた。沿海水産資源を保護するためと,機船底曳網漁業と漁民の帆船漁業との紛糾をさけるために,ここに従来からの命令を基礎とし,次のような補充規定をおこなう。次の三基点を結ぶ線を引き,この線以西のわが国沿海を機船底曳網漁船の禁漁区とする。

 第一七基点は北緯二九度,東経一二二度四五分(すなわち従来からの命令の第一七基点)

 第一八基点は北緯二七度三〇分,東経一二一度三〇分

 第一九基点は北緯二七度,東経一二一度一〇分,北緯二七度

以南のわが国大陸沿岸の東寄り沿海地域は,現在依然として軍事作戦状態のもとにあるため,これを軍事作戦区として区画決定する。

 以上の補充規定を通告申し上げますから,貴会におかれては,何とぞ,貴国の漁船に通知して,上述の海域に対しても同様に日中漁業協定締結時に双方で交換した文書の精神を貫徹していただくよう御願いします。

 一九五七年八月十日

 「渤海・黄海および東海の機船底曳網漁業禁漁区命令についての補充規定」通知に対する回答

 一九五七年八月十日発貴信中漁字第三一号,即ち貴国政府が一九五七年七月二十六日総周字第五三号をもつて公布した「渤海・黄海およぴ東海の機船底曳網漁業禁漁区の命令についての補充規定」に関する貴会の通知を八月二十二日受領いたしました。

 貴会と本会との漁業協定は,現在有効期間中であり,且つ貴国の今回とられた禁漁区設定の措置は,貴国の国内規定でありますので公海においては,日本漁船を拘束し得ないものであります。

 然しながら,本会は貴会の要請を考慮し,漁業協定締結時に交換した文書の精神を尊重するよう日本漁船を指導いたします。

 一九五七年九月五日

        日中漁業協議会

          会長 平塚常次郎

 中国漁業協会

   主 任 楊 ●{火へんに上が日で下が立}先生

   副主任 高樹頤先生