データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第四次日中民間貿易協定に関する内閣官房長官の談話

[場所] 
[年月日] 1958年4月9日
[出典] 日中関係基本資料集、134‐135頁.
[備考] 
[全文]

 政府としては、わが方民間貿易三団体の代表者と中共側の民間貿易団体の代表者との間に三月五日作成された第四次の民間貿易取極は日中双方がそれぞれ相手側の内政に干渉せず、それぞれの国内諸法令を遵守することを旨として、日中双方の経済的要請にもとづき、もっぱらその貿易を拡大せんとの趣旨に出たものと了解する。

 この取極は、双方の民間団体間のものであり、政府間のものではないが、政府としては彼我の貿易拡大を期する精神は尊重したい。

 政府としては、現在中共を承認する意向なきこと言を俟たぬところであり、この民間取極により設置される民間通商代表部に対し特権的な公的地位を認める所存はないが、この取極の民間団体による取扱に関しては、わが国と中華民国との関係その他国際関係を尊重し、通商代表部の設置が事実上の承認ではないかとの誤解を起さしめないよう配慮するとともに、国内諸法今の定める範囲内において、支持と協力を与える所存である。

 なお、日本政府としては中共を承認していないから、中共のいわゆる国旗を民間通商代表部に掲げることを権利として認めることができないことは当然である。