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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 中国の領海宣言

[場所] 北京
[年月日] 1958年9月4日
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),888頁.外務省アジア局中国課監修「日中関係基本資料集」,152−3頁.
[備考] 
[全文]

 中華人民共和国政府は,次のことを宜言する。

(一)中華人民共和国の領海の幅員は,十二海里とする。この規定は,中国大陸とその沿海島喚嶼,および同大陸とその沿海島嶼と公海を挾んで位する台湾およびその周辺の各島,澎湖列島,東沙群島,西沙群島,中沙群島,南沙群島その他中国に所属する島嶼を含む,中華人民共和国の一切の領土に適用する。

(二) 中国大陸とその沿海島嶼の領海は,大陸の海岸と沿海の海岸外縁の島嶼の各基点の間を結ぶ各直線をもって基線とし,基線より外方へ伸びること十二海里の水域は,中国の領海とする。渤海湾,●{王へんに京}州海峡を含めて,基線内側の水域はすべて中国の内海とする。東引島,高登島,馬祖列島,白犬列島,烏●{山へんに丘}島,大小金門島,大担島,二担島,東●{木へんに定}島を含めて,基線内側の島嶼はすべて中国の内海島嶼ととする。

(三)一切の外国の航空機及ぴ軍用船舶は,中華人民共和国政府の許可を得ない限り,中国の領海及び領海上空へ進入することができない。

 いかなる外国船舶も中国領海を航行中は中華人民共和国政府の関係法令を遵守しなければならない。

(四)以上の(二)及び(三)の両項が規定する原則は,同様に台湾及びその周辺の各島,澎湖列島,東沙群島,中沙群島,南沙群島及ぴその他の中国に所属する島嶼に適用する。

 台湾と澎湖地区は,現在もやはりアメリカによって武力占領されているが,これは,中華人民共和国の領土保全と主権を侵犯する不法行為である。台湾と澎湖などの地区はなお回復されるのをまっており,中華人民共和国政府は,あらゆる適当な方法をとって,適当な時期にそれらの地区を回復する権利を有しており,これは,中国の内政であって外国の干渉を許さない。

一九五八年九月四日 北京にて