[文書名] 日米安保条約に関する中国外交部声明
日本の首相岸信介は,日本国民のだんこたる反対と中国人民ならびに全世界の平和を愛する各国の人びとの再三にわたる警告をもかえりみず,今月十六日,アメリカにおもむき,日米安全保障条約を改定するという名目で,十九日,ワシントンでアメリカ政府と日米軍事同盟条約に調印することをきめた。これは日本の反動派とアメリカ帝国主義がたがいに結託して,新しい侵略と戦争を準備し,アジアと世界の平和をおびやかす極めて重大な段どりである。
中国人民は,独立,民主,平和,中立をめざし,日本軍国主義の復活に反対する日本国民の闘いに一貫して関心をよせてきた。日本の反動派がアメリカ帝国主義にもりたてられて,積極的に日本軍国主義を復活し,海外にたいして拡張をおこなっていることの危険性について,中国政府は,岸信介が政権についてから,とくにたびたび指摘してきた。こうした危険性は,すでに現実のものとなった。日米軍事同盟条約の調印は,日本軍国主義がすでに復活したことのしるしであり,日本がすでにアメリカの侵略的な軍事ブロックに公然と参加したことのしるしであると,中国政府はここに厳正に指摘しなければならない。これはアジア諸国民の大きな警戒心をよびおこさずにはおかない。
日本軍国主義の復活と,日本侵略の再発を防ぐため,連合国は第二次世界大戦中および日本の降伏後,一連の国際協定をむすんでおり,アメリカ政府には,これらの協定をまもる義務がある。日米軍事同盟条約は,これらの厳粛な国際協定に全く違反するものである。
ソ連を先頭とする社会主義陣営および平和を愛する国々と人びとの共同の努力によって,現在の国際情勢はある程度の緩和をみせている。アメリカの支配グループも平和を口にし,国際緊張の緩和をのぞんでいるかのような素ぶりをたえずしめしている。ところが,あたかもこうした時期に,アメリカと日本は軍事同盟条約に調印することになった。これは,アメリカの目的とするところが,侵略と戦争であり,いわゆる緩和と平和なるものは,戦争の準備をおおいかくすためのものにほかならないことをいまいちど証明するものである。
中華人民共和国政府は,日米軍事同盟条約にだんことして反対する。日本国民がたゆみない闘争をつづけ,米日反動派の陰謀をうちくだくため努力するものとわれわれは信じている。時代はすでに変った。米日反動派が如何に凶暴にふるまっても,日本国民を奴隷化し,アジア諸国民をおびやかすその罪悪的な陰謀は必ずや失敗におわるであろう。