データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本ジャーナリスト代表団と中国新聞工作者代表団との共同声明

[場所] 
[年月日] 1960年12月1日
[出典] 戦後資料日中関係(1967),235-236頁.
[備考] 
[全文]

 日本ジャーナリスト代表団は,1960年10月オーストリアのバーデンで開かれた第2回世界ジャーナリスト大会に出席のうち,再度中国を訪ねた.中国ジャーナリスト代表団と日本ジャーナリスト代表団は,バーデン大会の成果と両国ジャーナリストの協力問題で友好的会談を行ない,完全な意見の一致を見た.

(1) バーデン大会は平和,反帝,民主,民族独立の旗印を高らかにかかげ,世界のジャーナリストの団結を固める面で輝かしい成果をあげた.日中両国代表団は大会の成果に非常な満足の意を示した.

 大会の勝利は,各国ジャーナリストの団結への努力のたまものであるが,日中両国ジャーナリスト代表団の協力も重要な原因の一つである.大会に参加した大多数の発言者,とくにアジア,アフリカ,ラテン・アメリカの代表は米国を先頭とする帝国主義,植民地主義の罪悪を指摘し,平和,独立,繁栄をめざし,民族的な独立の新聞事業を発展させるため進めている各国人民の闘争の状況を報告し,さらにジャーナリストが真実を報道し,帝国主義の虚偽の,事実を曲げた宣伝を突き破ることは現在いかなる時にもまして重要であることを強調した.これは全世界のジャーナリストの共通の願いを反映している.

(2) 双方は,バーデン大会の各決議を全面的に支持する.これらの決議は,当面世界の広範なジャーナリストの団結,協力の基礎となるべきものと考える.両国のジャーナリストは,最大の努力を払ってこれらの決議を決然として遂行し,かつ各国の同業との接触を強化し,これら決議を遂行するためにとる各国ジャーナリストのすべての具体的行動を支持したいと思う.

(3) バーデン大会で提案されたアジア・アフリカ・ジャーナリスト会議開催促進を努力することは特に重要な意義をもつものである.

 この会議の成功は,帝国主義,植民地主義およびその代理人に反対する各国人民の闘争に必ず貢献し,同時にまたこれら地区のジャーナリストの職業上の諸種の困難を解決し,相互協力,支援を強化する上で,きわめて有益である.現在,帝国主義の新聞独占に反対する闘争はこの地域で急速に広がりつつある.

 国際情勢の発展は世界平和,民族独立,民主進歩をめざす各国人民の事業にますます有利であり,アメリカを先頭とする帝国主義者,植民地主義者にいよいよ不利となっている.このような有利な情勢下に,人民の希望にかなう独立自主の新聞事業を発展させ強固にすることは,多くの国,人民およびジャーナリストの共通の要求となっている.この事業の発展を互いに支持し,促進しあうことは,この地域のジャーナリストにとって極めて重要な任務である.

 日本代表団はアジア・アフリカ・ジャーナリスト会議の開催とその成功のため,極力便利な条件を提供する用意がある旨表明したが,中国代表団はこれを歓迎する.

 双方はラテン・アメリカ人民とジャーナリストの反帝国主義の愛国的な正義の闘争を全面的に支持するとともに,北米,欧州各国のまじめなジャーナリストが困難な状況下に真実を報道するため払っている努力を,きわめて高く評価する.

(4) 双方は,日中両国のジャーナリストがいままで緊密な協力によって生み出した積極的結果を非常な満足の念をもって目撃するとともに,協力を拡大し強化する新しい条件がすでに生まれていることを一致して確認した.両国のジャーナリストは,より緊密に提携し,アジア,世界の緊張した情勢を緩和し,平和を守り,アジア,太平洋地域に非核武装地帯を設け,米軍をアジア各地から撤退させ,日米軍事同盟条約を粉砕するための人民の闘争を支持し,かつ帝国主義の戦争宣伝に反対し,冷戦を取り除くための努力をする.中国のジャーナリストは,日本のジャーナリストが日米反動派の圧迫に反抗し,民主的権利を守り,自己の社会的,経済的地位を高め,団結を拡大し強化するため進める闘争,および両国の国交回復のため進める闘争に対し,全面的に支持を表明した.日本ジャーナリスト代表団の今回の中国訪問,および日中両国代表団のバーデンにおける協力は,最も親密な戦友であることを証明するものである.双方は今後の共同闘争において互いに支持し励ましあい,手を携えて相共に前進することを保証する.上述の満足すべき一致した意見にもとづき,両国ジャーナリストの協力をいっそう強化するため,日本代表団は日本ジャーナリスト会議の依頼をうけて中国ジャーナリスト代表団が適当な時期に日本を訪問するよう要請し,中国側はこの要請を喜んで受け入れた.

 中国の報道界は,日本ジャーナリストが日米安保条約に反対する日本人民の歴史的闘争を忠実に報道するため払った勇敢な努力に心から敬意を表した.また日本代表団は中華全国新聞工作者協会のもてなしに心から謝意を表した.

 1960年12月1日

日本ジャーナリスト代表団

 団長 小林雄一

 副団長 津田達夫

中国新聞工作者代表団

 団長 金仲華

 副団長 安崗