データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日中漁業関係の覚書(全文)

[場所] 北京
[年月日] 1963年1月22日
[出典] アジア経済旬報(529),26-27頁.1963年2月1日発行
[備考] 
[全文]

 日中漁業協議会訪中代表団団長平塚常次郎氏と同夫人、団員の村山佐太郎、江口次作、随員の中山八島の諸氏は中国人民外交学会の招きを受け今年1月中国を友好訪問した。訪問期間中、周恩来総理、陳毅副総理は日中漁業協議会訪中代表団と会見し、親しく話し合った。

 日中漁業協議会訪中代表団は日本漁業界の人びとの願いにもとづき、中国漁業協会、中国人民対外文化協会と友好的なふんいきのなかで日中両国の黄海、東海における漁業関係の若干の問題について話し合い、次の各点について一致した見解に到達した。

(1)1962年後半、松村謙三先生、高碕達之助先生が相ついで中国を訪問し「廖承志高碕達之助覚え書」が調印されて以後、中日両国民間友好貿易の関係は新たな進展をみた。こうした新しい状況に対応し、中日両国人民の友好関係と両国漁業界間のよしみをよりいっそう増進するため、黄海、東海における両国の漁業関係の問題について話し合う時機がしだいに熟していると双方は考える。

(2)双方は、中国漁業協会と日中漁業協議会が今年末までに黄海、東海における両国の漁業関係の問題について再び正式会談を開くことは必要であると考える。さらに正式会談後1955年の協定を土台にして中日両国の黄海、東海における漁業関係の問題についての民間取り決めを結ぶことは可能であると考える。これはまた中日両国民間友好貿易のよりいっそうの進展によい役割を果すものと考える。双方はこのために引き続き努力したい旨表明した。双方はまた、それ以前においても両国の船舶が作業中は引き続き友好関係を維持すべきであると表明した。

(3)中国漁業協会と日中漁業協議会が正式会談を行ない取り決めに到達するまでは、黄海東海における中日両国間の漁業関係の問題は中国人民対外文化協会と日中友好協会を通じ引き続きこれまでの連携を維持する。このほか双方は、中国漁業協会と日中漁業協議会の間に一定の必要な連携をうちたて友好的な往来と漁業関係の交流を行なうことに同意した。