データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日中ジヤーナリスト共同声明

[場所] 北京
[年月日] 1963年5月28日
[出典] アジア経済旬報(547),18-20頁.1963年8月1日発行
[備考] 
[全文]

 1.日本ジヤーナリスト代表団は1963年4月ジヤカルタで開かれた第1回アジア・アフリカ・ジヤーナリスト会議に出席したのち、中華全国新聞工作者協会の招きにより、中華人民共和国を訪問した。訪問期間に、日本ジヤーナリスト代表団は、アジア・アフリカ・ジヤーナリスト会議に参加した中国ジヤーナリスト代表団と日中両国ジヤーナリストがともに関心をよせている問題について意見を交換した。日本ジヤーナリスト代表団は、中国ジヤーナリストならびに中国人民の熱意のこもつたもてなしに心からの感謝を表明した。

 2.日中両国ジヤーナリスト代表団は、第1回アジア・アフリカ・ジヤーナリスト会議がおさめた偉大な成功を一致して高く評価し、この会議は団結と闘争の大会であつたと考える。この会議は、アジア・アフリカ諸国の人民と広範なジヤーナリストの共通の意志を反映し、帝国主義・植民地主義反対、アジア、アフリカ諸国の連帯強化のバンドン精神をいつそう発展させたものである。この会議で採択された「ジヤカルタ宣言」および「帝国主義・植民地主義反対闘争についての決議」など30項目の決議は、帝国主義、新旧植民地主義に反対する闘争に献身し、アジア、アフリカ諸国人民の民族独立をかちとる闘争や民族の独立を守る闘争に積極的に参加することが、アジア・アフリカ・ジヤーナリストのなによりも重要な任務であり、また、アジア・アフリカのジヤーナリストの団結と協力の基礎であると明確に指摘している。これらの文書は、アジア、アフリカのジヤーナリストの今後の活動と闘争の共同綱領となつている。この会議は、またアジア・アフリカ・ジヤーナリスト協会を成立させた。これによつて、われわれアジア・アフリカのジヤーナリストは今後の団結と闘争に有利な自分の組織をもつことになつた。

 双方は、第1回アジア・アフリカ・ジヤーナリスト会議の成功は、会議の主催国であるインドネシアのジヤーナリスと絶対多数の各国代表の共同の努力によるものであることを一致して認める。双方は、インドネシアの政府と人民の会議にたいする支持にかさねて感謝の意を表明する。双方は、会議期間中の日中両国の代表団の親密な協力に満足の気持を表明する。双方は、会議の成功が、この会議を破壊しようとくわだてた帝国主義とその手先に手痛い打撃をあたえたことを認める。

 日中両国ジヤーナリスト代表団は会議の諸決議を実現するため、それぞれの国で努力し、アジア、アフリカ諸国のジヤーナリストに協力し、アジア・アフリカ・ジヤーナリスト協会が順調に活動をくりひろげられるよう積極的に支持することを一致して表明する。

 3.日中両国ジヤーナリスト代表団は、当面の世界情勢がますます各国人民にとつて有利な方向に、帝国主義と反動派にとつて不利な方向に発展していることを一致して確認した。アメリカ帝国主義の侵略と戦争の政策は、各国人民のますます激化する反対に直面している。全世界の人民、とりわけアジア・アフリカおよびラテン・アメリカ人民の革命運動はひじょうな勢いで発展しつつあり、帝国主義集団の矛盾は日ましに深まつている。アメリカを先頭とする帝国主義はますます苦しい立場においこまれている。それだけに、かれらはもつとも凶暴で陰険な手段をつかつて、歴史の前進を阻もうと妄想している。新旧植民地主義を根絶し、帝国主義を消減させ、世界の恒久平和をかちとるため、各国人民は団結と闘争を強化しなげればならない。

 4.日中両国ジヤーナリスト代表団はアメリカ帝国主義が日中両国人民にとつて共通の、もつとも凶悪な敵であることを、かさねて確認した。日中両国ジヤーナリストは、アメリカ帝国主義に反対する共同の闘争でひきつづき支援しあい、はげましあうであろう。

 中国ジヤーナリスト代表団は、日本人民と日本の進歩的、良心的なジヤーナリストおよび新聞・放送・出版・映画・演劇などの諸部門で活動するジヤーナリズム関係労働者の民族独立をめざす反米愛国正義の闘争を高く評価し、これを断固支持すると同時に、日本人民がすすめている日米「安全保障」条約の放棄、アメリカ軍事基地の撤去とアメリカ駐留軍の撤退、沖繩、小笠原諸島の祖国への復帰、「日韓会談」と東北アジア軍事同盟の結成反対および当面くりひろげているアメリカ核潜水艦の日本の港湾への「寄港」反対、核兵器を積むF105戦闘爆撃機の日本への配置反対、日本の核武装反対の闘争は、アメリカ帝主義の侵略政策と戦争政索{前文1文字ママ}に強力な打撃をあたえ、帝国主義と植民地主義に反対するアジア、アフリカ、ラテン・アメリカおよび世界諸国人民の闘争を大いにはげまし、アジアと全世界の平和をまもるうえで大きな貢献をしていると考える。

 中国ジヤーナリスト代表団は日中両国ジヤーナリストの戦闘的友宣{前文1文字ママ}を極めて重要なものと考え、日本の進歩的、良心的なジヤーナリストとジヤーナリズム関係労働者がアメリカ帝国主義の「2つの中国」をつくる陰謀と中国の領土である台湾にたいする侵略占領に反対し、日中友好、日中の経済文化の交流、日中国交回復などを促進する闘争をはば広くくりひろげていることに、心からの敬意を表明する。

 中国ジヤーナリスト代表団は日本のジヤーナリストとジヤーナリズム関係労働者の民主主義をかちとり、生活を守り、迫害に反対する闘争を断固支持する。現在、米日反動派があらゆる宣伝機関を動員して軍国主義復活の狂気じみた宣伝を行ない民主運動を弾圧し、分裂させている情勢のもとで、日本の進歩的、良心的なジヤーナリストとジヤーナリズム関係労働者は、いろいろな困難をのりこえ、自分たちの闘争を日本人民の闘争と緊密に結びつけて、ひきつづき勇敢なねばり強い闘争をすすめている。中国ジヤーナリスト代表団はこれを高く評価し、敬意を表明する。

 5.日本ジヤーナリスト代表団は中国各地を訪問して、中国人民が総路線、大躍進、人民公社の三つの赤旗を高くかかげて社会主義建設のために奮闘している姿を実地にみた。日本ジヤーナリスト代表団は、中国人民が3年間の自然災害による困難にうちかち、あらゆる分野で社会主義建設を迅速に、しかも着実に前進させている事実をみて、深い感銘を受けた。日本ジヤーナリスト代表団は、中国における社会主義建設の迅速な発展が、世界諸国、とりわけアジア諸国の人民の帝国主義・植民地主義反対の闘争にとつて大きなはげましであり、世界平和の力強い保障であると考える。日本ジヤーナリスト代表団は、中国のジヤーナリストが自国の社会主義建設の事業に力をつくし、帝国主義の侵略と戦争の陰謀を積極的にあばき、各国人民の正義の闘争を断固支持していることにたいし深い敬意を表明する。

 6.日中両国ジヤーナリスト代表団は、日中両国ジヤーナリストが1960年12月と1961年9月に上海と東京で調印した二つの共同声明が、両国ジヤーナリストの実践活動および情勢の発展によつて、まつたく正しかつたことが立証されたと考える。日中両国ジヤーナリストの戦闘的友宜{前文1文字ママ}は日ましに強まりつつある。双方は、今後両国ジヤーナリストの友好交流を促進するとともに、緊密に協力しあい、われわれの共通の敵にあくまで断固として反対することを誓う。

1963年5月28日 北京