データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日華共同コミュニケ

[場所] 
[年月日] 1965年8月18日
[出典] 外交青書10号,24−25頁.
[備考] 
[全文]

 沈昌煥中華民国外交部長は,夫人及び数名の随員を帯同し,日本政府の賓客として一九六五年八月一二日から一九日まで,日本国を訪問した。本訪問は,一九六四年七月の大平前外務大臣の中華民国訪問に対する答礼として行なわれたものである。日本政府及び国民は沈外交部長の訪問に対し熱烈なる歓迎を行い,沈部長は日本朝野の厚誼に対し心からなる感謝の意を表明した。

 沈外交部長夫婦は,天皇及び皇后両陛下から謁見を賜わった。また,沈外交部長は,船田衆議院議長及び重宗参議院議長を表敬訪問した。

 佐藤総理大臣及び椎名外務大臣は,それぞれ沈外交部長と極めて友好的なふん囲気のうちに会談を行ない,現下の国際情勢,特にアジア情勢,日華両国間の問題および両国がともに関心をもつ諸問題について忌憚のない意見を交換した。沈外交部長は,また,福田大蔵大臣,三木通商産業大臣および藤山国務大臣その他の日本の指導的な人物と会見し相互に関心をもつ諸問題について話し合った。

 椎名外務大臣と沈外交部長は,一九五二年日華両国が平和条約を締結して以来,同条約に基づき両国が現在まで維持してきた友好関係が,両国間の相互理解を深め,両国の福祉を増進し,かつアジアにおける平和と安定を確立する上に,大きな意義があったことに満足の意を表明した。また椎名外務大臣と沈外交部長は,客年の吉田元総理大臣および大平前外務大臣の訪華,ならびに中華民国総統府張羣秘書長の訪日が両国間に新たに友好親善関係の基礎を築いたことを認め,

今後とも両国間の緊密な関係を維持発展せしめることに意見の一致をみた。