データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日中中日友好協会代表団共同声明

[場所] 北京
[年月日] 1966年10月12日
[出典] アジア経済旬報(663),16-18頁.1966年10月21日発行
[備考] 
[全文]

 日本中国友好協会代表団は中華人民共和国創立17周年の国慶節を心から祝賀するため,プロレタリア文化革命の高まりの最中に中国を訪れた。日中両国人民間の友好交流をよりいっそう発展させるために,日本中国友好協会代表団は中国日本友好協会代表団と会談を行なった。双方は一致して日本各界知名人の声明と中国各界人士および人民団体責任者52人の声明を全面的に支持し,この二つの声明の基礎の上に当面の国際情勢を詳細に検討した。

 米帝国主義はいぜんとして中国を主要な目標とする侵略と戦争の政策をとり続け,世界各国人民の安全と平和を破壊し,とりわけ,アジア,アフリカ,ラテンアメリカ各国の主権と独立を脅かし,侵犯しているが,まさにそのために,かれらはますます全世界人民によって非難され,包囲される立場におちこんでいる。

 いま米帝国主義に反対するたたかいの焦点はベトナムにある。英雄的なベトナム人民の断固たる抗米救国のたたかいは敵に息つくひまもない打撃を与え,米帝国主義を日1日と窮地に追い込んでいる。しかし,米帝国主義は侵略戦争の炎をインドシナ全土と中国に拡大しようとたくらみながら,一方ではぎまん的な「平和交渉」の陰謀をもてあそんでいる。ベトナム人民日中両国人民と全世界の人民は,このような陰謀の成功を絶対に許すものではない。中国人民はいかなる民族的犠牲を払うこともいとわず,ベトナム人民が抗米救国戦争を最後までやりぬくのを断固支持する決意を固めている。

 日本においてもベトナム人民支援の運動が全国にまき起っている。ベトナム人民のたたかいは,たんにベトナム人民の独立のためのたたかいであるばかりでなく,それは米帝国主義の侵略と戦争の政策に反対する日中両国人民および全世界人民の共同のたたかいである。

 双方はベトナム人民の正義の戦争は必ず勝利し,米帝国主義の不正義の戦争は必ず敗北するとの確信を表明した。同時に,日本の佐藤政府が米国のベトナム侵略戦争に加担してとっている種々の行動を激しく非難し,日本軍国主義の復活に断固たる反対を表明した。

 このような情勢の下において,双方は改めて世界地図上における日中両国の位置をみなおし,2千年にわたる経済,文化の交流の歴史をいまいちどふりかえり,またかつての日本軍国主義がアジア人民に対して犯した許すべからざる犯罪行為を憤りをもって思い起こし,両国人民の安全とアジアの平和が大きく日中両国関係のいかんにかかっているのであるから,今後両国人民の友好関係は,子子孫孫に至るまで守らねばならず,とくに今日の情勢において,日中友好運動の発展を共同の敵,米帝国主義およびその手先に対する共同のたたかいがこれまでになく重要になってきたことを確認した。

 中国の文化大革命と紅衛兵の革命的行動は,米帝国主義とさまざまな反動脈{前文1文字ママ}に対する最も手痛い打撃であり,中国はソ連の指導グループを中心とする現代修正主義のように堕落することが絶対にありえないことを保障した。

 日本中国友好協会代表団の各員は,滞在期間中,特別の関心をもって紅衛兵との座談会,そのほかあらゆる機会を通じてその真実の把握に努めた。その結果として日本中国友好協会代表団は,中国の文化大革命は,中国人民が革命の正しい進路を保障するため長期にわたる革命途上さけることのできない重要な一過程であり,すでに明瞭な成果をあげつつあることについて深い理解を表明した。

 双方は,日中友好交流は,一貫して両国人民の共通の願望と利益にもとづいて,相互尊重,平等互恵,相互支援の立場から行なってきたし,また今後も行なっていくものであり,日中友好と交流にたいするさまざまの中傷とひぼうは,一切根拠がなく,日本の日中友好運動を内部から破壊しようとするにすぎないものであることを一致して指摘した。

 双方は,日中両国人民のあらゆる分野における交流は,相互理解を深め,友好と団結を強めるために必要なものであり,同時にまた相互理解の深まりと友好と団結の強化は,各分野での次の新らたな発展を促す力となるものであることを認め,合後ますます各分野の交流を拡大,発展させる必要を強調した。

 以上の観点から,日本側は,あらゆる妨害を排除し,第2回日中青年友好大交流に参加する日本青年の中国訪問実現のために努力し,中国側は,第2回中日青年友好大交流に参加する日本青年が,いかなる時期に中国を訪問してもこれを歓迎すると表明した。

 双方は,文化芸術,その他あらゆる分野での交流と,一般旅行団を含む人びとの往来をなおいっそう拡大発展させること,日中友好を基礎に政治三原則(1.中国敵視政策をとらないこと。2.二つの中国の陰謀に加担しないこと。3.日中両国の国交正常化を妨げないこと),貿易3原則(政府協定,民間契約,個別的配慮)と政経不可分の原則に従って,日中貿易をさらにいっそう発展させるために責任をもって努力すること,現在佐藤政府の中国敵視政策によって妨げられている日中両国双方の居留民の祖国往来の自由の実現のために,努力することを一致して確認した。

 双方はいま,日本国内外においてさまざまな勢力が日中友好運動にたいして,陰に陽に妨害を加えている現状のもとで,日本各界知名人32人の声明と中国各界人土{前文1文字ママ}および人民団体責任者52人の声明の発表は重大な意義をもつものであることを認め,日中両国人民は力を合わせ万難を排除し,日中友好運勸をいっそう広範な分野に展開し,大きく前進させるべきであると強調した。

1966年10月12日

日本中国友好協会代表団

黒田寿男  宮崎世民

大森真一郎 三好一

足立梅市  今井長二郎

野村芳郎  杉本勲

樺山秀一  橋本信一

中国日本友好協会代表団

廖承志  趙安博

康永和  沈茲九

楊ユウ  彭炎

王暁雲  張連華

郭労為  李文耀