データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日中覚書貿易会談コミュニケ(日本日中覚書貿易事務所代表・中国中日備忘録貿易弁事処代表の会談コミュニケ)

[場所] 北京
[年月日] 1968年3月6日
[出典] 日本外交主要文書・年表(2),768頁.「増補改定 日中関係資料集(一九七一年刊),296ー7頁.
[備考] 
[全文]

 日本の松村謙三氏が派遣した日本日中覚書貿易事務所代表古井喜実,岡崎嘉平太,田川誠一と中国中日備忘録貿易弁事処代表劉希文,王暁雲,孫平化は,一九六八年二月八日から三月六日まで北京で会談を行なった。双方は,周恩来総理と松村謙三氏とのこれまでの会談の趣旨にもとづき,ともに関心をもっている問題について友好的かつ卒直に意見を交換した。

 双方は,日中両国は近隣であり,両国国民の間には伝統的な友情があると考え,日中両国国民の友好関係を増進し,両国関係の正常化を促進することは,日中両国国民の共通の願望にかなっているばかりでなく,アジアと世界の平和を守ることにも有益であると認めた。

 中国側は,われわれの間の関係を含む中日関係に存在する障害は,アメリカ帝国主義と日本当局の推し進めている中国敵視政策によってもたらされたものであると指摘した。

 日本側は,中国側の立場に対して深い理解を示し,今後このような障害を排除し,日中関係の正常化を促進するために更に努力をはらうことを表明した。

 中国側は,中日関係における政治三原則と政治経済不可分の原則を堅持することを重ねて強調した。日本側は,これに同意した。双方は,政治経済不可分の原則とは,政治と経済は切りはなすことが出来ず,互いに関連し,促進しあうものであり,政治関係の改善こそ経済関係の発展に役立つものであるとの考えであることを認めた。

 双方は,政治三原則と政治経済不可分の原則は,日中関係において遵守されるべき原則であり,われわれの間の関係における政治的基礎であると一致して確認し,上記の原則を遵守し,この政治的基礎を確保するためにひとつづき努力をはらう旨の決意を表明した。

 双方は,一九六八年度覚書貿易事項について取りきめを行なった。

  一九六八年三月六日 北京にて

    日本日中覚書貿易事務所代表

古 井 喜 実

岡 崎 嘉平太

田 川 誠 一

    中国中日備忘録貿易弁事処代表

劉  希  文

王  暁  雲

孫  平  化