データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日中国交回復国民会議訪中代表団と中日友好協会代表団の共同声明

[場所] 北京
[年月日] 1971年11月20日
[出典] 日中関係基本資料集、396−399頁.
[備考] 
[全文]

 飛鳥田一雄を団長とする日本日中国交回復国民会議訪中代表団は、中国日中友好協会の招きに応じて、中日両国人民の戦闘的友誼を強め中日国交回復を促進するため、一九七一年十一月三日から二十二日まで中華人民共和国を訪問した。

 日中国交回復国民会議訪中代表団は、中国訪問期間中に、工場、人民公社、学校、病院を参観し、また延安を訪れ、中国人民の熱烈な歓迎を受けた。これは中日両国人民の深い友誼を十分に表わしたものである。

 中華人民共和国国務院総理周恩来、全国人民代表大会常務委員会副委員長・中日友好協会名誉会長郭沫若、北京市革命委員会副主任呉徳が代表団の全員と会見し、親しみのこもった友好的な談話を行なった。

 日中国交回復国民会議訪中代表団は、王国権を団長とする中日友好協会代表団と友好的な雰囲気のなかで、当面の情勢と双方がともに関心を寄せている問題について会談を行ない、基本的に見解の一致をみた。

 なお、中国側からは、徐明、王暁雲、蕭向前、金蘇城、李孟競、王效賢、許宗茂、王音、葉啓●{さんずいに庸}がこの会談に参加した。

 日本側からは、鈴木力、伊達秋雄、大森真一郎、若林●{さんずいに熙}、田上武治、大谷竹山、野口政子、土谷勉、新川輝雄、佐々木信男、田中安三、小山良治、阪本寿治、高瀬勝、藤原充子、枝村要作、山内正博、米倉文吉、鳴海正泰がこの会談に参加した。

     (1)

 日本側は、中国のプロレタリア文化大革命の勝利と社会主義革命・社会主義建設の道を邁進する中国人民の精神面の姿に強い感銘を受けたと表明した。

 中国側は、日本日中国交回復国民会議が、発足以来繰りひろげてきた米日反動派の日本軍国主義復活に反対し、中日友好の増進と中日国交回復の促進をはかる幅広い活動は、中国人民に対する支持であり、はげましであると表明し、これに心から感謝の意を表わした。

 日本側は、第二十六回国連総会でアルバニア、アルジェリアなど二十三カ国の決議案が圧倒的多数で可決され、中華人民共和国の国連におけるあらゆる合法的権利が回復され、蒋介石集団の代表が追放されたことに、熱烈な祝意を表わした。中国側はこれに感謝の意を表明するとともに、これは中国人民、日本人民、全世界人民と正義を主張するすべての国家の共同の勝利であると考える。

    (2)

 双方は、一致して次のように認めた。当面、国際情勢は非常にすばらしく、ますます世界各国人民の正義の闘争にとって有利になり、アメリカ帝国主義とそのすべての手先の反動支配にとって不利になっている。国家が独立を求め、民族が解放を求め、人民が革命を求めることは、いまやはばむことのできない現代の世界の潮流になっている。強権政治と覇権主義をおしすすめる超大国は、侵略、支配、奴隷化、悔辱を受けている国家と人民の反抗にあい、非常に周章狼狽しており、ますます孤立した境地におちいっている。

 双方は、一致して次のように指摘した。中日友好を強め、中日国交を回復することは、中日両国人民の共通の願いである。しかし、佐藤政府は一貫してアメリカ帝国主義に追随して、中国を敵視し、「二つの中国」と「一つの中国、一つの台湾」を作りだす陰謀をすすめ、「台湾独立」を画策し、「台湾の帰属未定」を叫んでいる。きわめて明らかなように、その目的は台湾省を中華人民共和国から切離そうとすることにあり、これは、中日両国人民の絶対に許せないところであり、中日国交回復のゆゆしい障害でもある。中日国交がいまなお回復していない責任はまったく日本の佐藤政府の側にある。

 中国側は次のように強く指摘した。中華人民共和国政府は中国の唯一の合法政府であり、台湾省は中華人民共和国の領土の不可分の一部であり、台湾人民は中国人民の血を分けた同胞である。日本軍国主義がかつて五十年にわたって台湾を不法占領していたが、第二次大戦後日本が降伏した際、カイロ宣言とポツダム宣言に基づいて台湾はすでに中国に返還された。いわゆる「台湾の帰属未定」の謬論は歴史の事実にまったくそむくものである。台湾解放は中国の内政であり、いかなる外国の干渉も許されない。「日蒋条約」は不法であり、無効であって、破棄されなければならない。中国人民は必ず台湾を解放する。

 日本側は、中国側のこうした厳正な立場を断固支持することを表明した。日本日中国交回復国民会議は広範な日本人民といっしょに日本政府に「日蒋条約」の破棄、中国との戦争状態の終結、日中国交の回復、平和条約の締結を強く要求し、また、この闘争をすすめぬく決意を表明した。中国側は、これに支持と感謝の意を表明した。

    (3)

 双方は、一致して次のように指摘した。米日反動派によって復活している日本軍国主義は、侵略の矛先を朝鮮、中国、インドシナ三国人民とアジア各国人民にむけ、すでにアジアの現実的な脅威となっている。しかし現在、時代は変わっており、日ましに強大になっている日本人民、中国人民、アジア各国人民を前にして、日本軍国主義が、あえてふたたび侵略戦争を起こすならば、いっそうみじめな失敗をなめるだけである。

 日本側は次のように強く指摘した。米日反動派は沖縄「返還」のべールのもとに一段と軍事結託を強めている。闘いの最前線にたつ沖縄人民と広範な日本人民は、沖縄「返還」のペテンを暴露し粉砕するため勇敢な闘争をすすめている。この闘いは、当面アメリカ帝国主義と日本軍国主義復活に反対し、日米「安保条約」破棄を目ざす中心的課題であり、それは沖縄の非軍事化を求める闘争、日中友好、日中国交回復を要求する闘争と合流して、押しとどめることのできない潮流をかたちづくっている。沖縄「返還」のペテン反対を中心とする勢いさかんな日本全土にわたる大衆運動は、アジアの平和にとって重要な要素である。日本人民は団結を強め、闘争を堅持するとともに、中国人民、朝鮮人民、アジア各国人民と連合して、完全な勝利をかちとる決意である。

 中国側は、中国人民がこれまでと変わることなく、日本人民のアメリカ帝国主義に反対し、沖縄の即時・無条件・全面返還を要求する闘争を断固支持し、日本人民の日中友好を強め、日中国交回復を促進する運動を断固支持することを表明した。

 双方は、人民は歴史を創造する原動力であって、前進の途上にはまだ曲折と困難があるとはいえ、独立、民主、平和、中立、繁栄の新しい日本をうち立てるという日本人民の願いは、必ず実現するものと確信する。

    (4)

 中国側は、日中国交回復国民会議訪中代表団のこんどの中国訪問が中日両国人民の相互理解と戦闘的友誼のいっそうの増進に積極的な貢献を果たしたことを指摘した。

 日本側は、今後も引続き、日中国交回復国民会議の活動に基づいて、全国都、道、府、県と市、町、村に普遍的に地方組織をつくり、真に日中友好を求めるすべての団体および各界の人士と団結して、日中友好を破壊する勢力のつくり出すさまざまな障害を取除き、日中友好を強め、日中国交回復を促進するため、断固闘争すると表明した。中国側は、これに支持と賞賛の意を表わし、日中国交回復国民会議が今後の活動のなかでいっそう大きな成果をかちとるよう心から期待した。

 中日両国人民は悠久の伝統的友誼をもっている両国人民がアメリカ帝国主義と日本軍国主義復活に反対する闘争のなかでうち立てた戦闘的団結は、いかなる勢力にも破壊されるものではない。双方は、両人民の友好往来をいっそう拡大し、団結を強め、互いに支持しあい、中日両国人民の友誼の強化・発展のため、共に奮闘することに一致して同意した。

中国中日友好協会代表団

団長 王国権(署名)

日本日中国交回復国民会議訪中代表団

団長 飛鳥田一雄(署名)

一九七一年十一月二十日 北京にて

(一九七一・十一・二十一、人民日報