[文書名] 沈昌煥「外交」部長の日台航空路線断絶声明
日本の田中内閣は中国に媚びる政策を遂行するため、一九七二年九月二十九日、一方的に日華平和条約を破棄して中国と外交関係を結び、わが蒋総統が戦後寛大な政策でもって日本を救い、その復興を助けてきた恩義にそむいた。
わが政府は日本と断交後、アジア太平洋地区の安全、自由の擁護と共産侵略の拡大阻止ならびに日本国民のわが国に対する友情を顧慮し、ひきつづき両国民間の経済、文化関係を維持した。昨年、両国民間の往来は五十数万人に達し、経済、貿易、文化の交流も著しく伸展した。
しかるに、日本の田中内閣はわが国の善意を蔑視し、中国と航空協定を結ぶのを急ぐため、一方では中国の玩弄に甘んじ、その無理な要求に対して完全に屈服し、他方ではわが政府が再三表明してきた断固たる公正な態度を無視して、ついに日台航空路線の現状を破壊してしまった。
そればかりか、大平が発表した無礼な談話のなかで、わが国の国旗を認めず、わが国の尊厳と権益を重大に損ない、日台両国民が戦後力を合わせて打ち立てた友好関係を再び傷つけた。
わが政府は国家、民族の尊厳を擁護するため、中国の威圧に屈服することによってわが国の権益を損なういかなる事情をも絶対に容認できない。よって次の通り厳正に声明する。
政府は中華航空機の日台航空路線就航を即日停止することを決定した。国際慣例の相互原則により、日本航空機も同航空機も同航空路線の就航を即日停止しなければならない。
同時に、台湾の航空機は日本管轄の飛行情報区と防空識別圏の上を飛行しないし、日本の航空機もわが国管轄の飛行情報区と防空識別圏の上を飛行することは許されない。
もし、日本の航空機が許可なしに上記管轄区に侵入した場合、政府は国際民間航空の規定および自国の関係法規にもとづいてこれを処理する。
日本政府が日台航空路線の現状を破棄したことによって生ずる一切の結果は、日本政府がその全責任を負うべきである。
(一九七四・四・二十一、中央日報)