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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 海運業務に関する協議のための民間団体の設立等に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の交換公文

[場所] 東京
[年月日] 1976年8月25日
[出典] 日中関係基本資料集、499−500頁.
[備考] 略称−中国との民間海運協議団体の設立等に関する取極
[全文]

(中国側書簡)

(訳文)

 書簡をもって啓上いたします。本官は、一九七四年十一月十三日に東京で署名された中華人民共和国と日本国との間の海運協定に言及するとともに、同協定第十条の規定の実施に関して、両政府が到達した次の了解を本国政府に代わって確認する光栄を有します。

1 両政府は、両国の船舶による旅客又は貨物の円滑な運送の促進のためには、両国間の海運業務に従事するそれぞれの国の海運企業が団体を組織し、当該両団体が、両国間の海運業務に関する問題につき協議することが有益であることを認める。

2 両政府は、それぞれの国の海運企業が組織する1にいう団体を相互に通報するものとし、それぞれの権限の範囲内で、前記の協議が円滑かつ適時に行われるよう奨励する。

3 それぞれの国の海運企業が組織する1にいう団体は、他方の国の法令に従い、北京又は東京に代表事務所を設置することができる。

 代表事務所の要員は、中華人民共和国又は日本国の国民でなければならず、当該代表事務所の所在する国の法令を遵守しなければならない。

 現地で雇用される者を除き代表事務所の要員の数の最高限度は、六名とし、業務の必要に基づき、両国の権限のある当局の間の合意により変更することができる。

4 代表事務所の要員は、当該代表事務所の所在する国において必要とされる手続を履行した後、自国の船舶及び自国の海運企業が傭船した自国以外の国の船舶が停泊している港に赴くことができる。

5 両政府は、それぞれの国内法令に従い、自国に設置される代表事務所に対して、可能な援助及び便宜を供与する。

 本官は、貴官が前記の了解を日本国政府に代わって確認されることを要請する光栄を有します。

 本官は、以上を申し進めるに際し、ここに貴官に向かって敬意を表します。

一九七六年八月二十五日に東京で

中華人民共和国政府海運代表団団長 張公忱

日本国政府海運代表団団長 中江要介殿

   (日本側書簡)

 書簡をもって啓上いたします。本官は、本日付けの貴官の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。

   <中国側書簡>

 本官は、貴官の書簡に述べられた了解を日本国政府に代わって確認する光栄を有します。

 本官は、以上を申し進めるに際し、ここに貴官に向かって敬意を表します。

一九七六年八月二十五日に東京で

日本国政府海運代表団団長 中江要介

中華人民共和国政府海運代表団団長 張公忱殿

(参考)

 この取極は、一九七四年十一月十三日付けの日中海運協定の第十条における両国の船舶による貨客の円滑な運送促進についての協力の規定に関し、両国間の海運業務に従事するそれぞれの海運企業が団体を組織し協議することについて定めたものである。

昭和五十一年(一九七六年)八月二十五日に東京で

同年(同年)八月二十五日に効力発生