データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日中長期貿易取り決め書

[場所] 
[年月日] 1978年2月16日
[出典] 日中関係基本資料集、507‐509頁.
[備考] 
[全文]

 日本日中長期貿易協議委員会と中国中日長期貿易協議委員会は、日中両国政府の共同声明及び貿易協定の精神に基づき、平等互恵、有無相通及び輸出入均衡の基礎の上に、両国の経済・貿易関係を長期的かつ安定的に発展させるため、友好的に協議を行い、それぞれの政府の支持を受けて、日本から中国に技術及びプラント並びに建設用資材・機材を輸出し、中国から日本に原油と石炭を輸出する長期貿易の取り決めを日中両国間の貿易の一部として、以下のとおり締結する。

第一条 本取り決めの有効期間は、一九七八年から一九八五年までの八年間とする。

 本取り決めの有効期間内における双方の輸出総金額は、それぞれ百億米ドル前後とする。

第二条 本取り決めの第一年度(一九七八年)から第五年度(一九八二年)までの日本側から中国側に輸出する技術及びプラントは約七十億乃至八十億米ドル、建設用資材・機材は約二十億乃至三十億米ドルとする。

 双方は、毎年締結する契約金額をもって確定金額とすることに同意する。

 本取り決めの第一年度(一九七八年)から第五年度(一九八二年)までの中国側から日本側に輸出する商品及び数量は下記のとおりである。

年度   数量単位 原油    原料炭   一般炭

一九七八 万トン  七〇〇   一五〜三〇 一五〜二〇

一九七九 万トン  七六〇   五〇    一五〜二〇

一九八○ 万トン  八〇〇   一〇〇   五〇〜六〇

一九八一 万トン  九五〇   一五〇   一〇〇〜一二〇

一九八二 万トン  一、五〇〇 二〇〇   一五〇〜一七〇

 双方は、本取り決めの第六年度(一九八三年)から第八年度(一九八五年)までの中国側から日本側に輸出する商品及び数量について、一九八一年内に協議し、確定することに同意する。取り決めの最後の三年間における、中国側から日本側に輸出する原油及び石炭の数量は、本取り決めの第五年度の数量を基礎にして、逐年増加するものとする。

第三条 双方は、原則として延払い方式で日本側から中国側に技術及びプラント並びに建設用資材・機材を輸出することに同意する。

第四条 本取り決めに基づく取引は、日本側当事者と中国側関係輸出入総公司との個別契約を締結することによって行うものとする。

 双方は、合理的な国際価格と国際貿易の慣例に基づいて取引を行うことに同意する。

第五条 双方は、本取り決めを実行し、日中両国の経済交流を拡大するため、必要な科学技術分野において技術協力を行うことに同意する。

第六条 双方は、本取り決めに基づく取引上の決済の進捗状況を把握するため、それぞれ外国為替銀行一行を選定し、所要の統計作業を担当させることに同意する。

 日本側は東京銀行とし、中国側は中国銀行とする。

 両行は必要な統計をとり、相互に連絡を行うものとする。

第七条 本取り決めに基づく取引契約書、信用状、為替手形及び保証状にはすべて下記の符号を付することとする。第一年度分に対してはLT−1、第二年度分に対してはLT−2(以下同様)とする。

第八条 双方は、本取り決めを実行するため、それぞれ事務局を設置し、連絡及び関係事務の処理を行うものとする。

 日本側は、日本日中長期貿易協議委員会事務局を東京に設け、中国側は、中国中日長期貿易協議委員会弁事処を北京に設けるものとする。

第九条 双方は、本取り決めの実行及び本取り決めに関する問題を協議するため、双方の代表が毎年交互に東京と北京で会談を行うことに同意する。

第十条 本取り決めは、双方の同意なしに破棄することができないものとする。

 本取り決めに基づき締結した契約は、双方の契約当事者の同意なしに破棄することができないものとする。

第十一条 本取り決めの有効期間は、調印した日から一九八五年十二月三十一日までとする。

 本取り決めは、双方協議し、同意の上、これを修正することができるものとする。

第十二条 本取り決め書は、一九七八年二月十六日北京において調印し、日中両国語により各二通を作成し、双方それぞれ一通を保有する。

 両国語の取り決め書は同等の効力をもつ。

日本日中長期貿易協議委員会 委員長 稲山嘉寛

中国中日長期貿易協議委員会 主任 劉希文

{注 LT−1、LT−2の1、2は原文では漢数字}