[文書名] 日中平和友好条約の調印に際して(福田内閣総理大臣)
本日,日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約が,めでたく調印されました。国民の皆様とともに,心からこれを喜びたいと思います。
顧りみますと,昭和四十七年九月の日中共同声明以来,日中関係は,順調に発展して参りました。その間,貿易,航空,海運,漁業等の分野における政府間協定が締結され,また最近では,民間長期貿易取り決めが締結を見るに至りました。
本日調印された日中平和友好条約は,このように順調な発展を見て来た日中関係を,更に安定した基礎の上におくことを目指すものであり,そのなお一層の飛躍的発展を約束するものであります。
いずれの国をも敵視せず,すべての国との平和友好関係を求めることは,わが国外交の基本的立場であります。日中平和友好条約は,その内容から明らかなとおり,この基本的立場を貫いて締結されたものであり,必ずや国民の皆様の祝福を得られるものと確信いたします。
この条約が,日中両国間の永い将来に亘る平和友好関係を強固にし,発展させるのみならず,更にアジア,ひいては世界の平和と安定に寄与することを期待するものであります。
この記念すべき条約の調印は,様々な立場から日中関係に真剣な関心を有する国民各界各層の皆様のご理解とご協力を得て,はじめて可能となったものであります。ここに広く内外から寄せられたご理解とご協力に対して,敬意を表するものであります。