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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 中国残留日本人孤児問題の解決に関する日中間の協議について

[場所] 北京
[年月日] 1984年3月17日
[出典] 日中関係基本資料集 1949年−1997年,654頁.
[備考] 昭和五十九年度口上書の概要
[全文]

一、日中両国政府は、昭和五十八年一月に行われた中国残留日本人孤児問題に関する日中間の協議の結論を文書により確認する作業を進めてきたところ、この程双方の意見の一致をみたので、このための口上書の交換が三月十七日北京においてわが方在中国日本国大使館と先方中国外交部との間で行われた。

二、これによって、日中友好と人道主義の立場に基づき、かつ、日中双方の関係法令の規定に従って、中国政府は、孤児の訪日親族捜し等に対し、引き続き協力すること、および日本政府は、孤児の日本国への永住により生ずる家庭問題を責任をもって適切に解決することが確認され、具体的には、今後、次の措置をとることとなる。

 (1) 日中双方は、各年度の孤児の親族捜しの計画について、外交経路を通じて協議し決定する。

 (2) 里帰りのために訪日した孤児が中国へ戻ることを望まない場合には、日本政府は、その孤児が家庭問題を解決するため、一旦中国へ戻るよう必要な措置をとることとするが、同人が依然として中国へ戻ることを望まない場合には、中国の家族が家庭問題を解決するため訪日できるよう必要な措置をとる。

 (3) 日本国に永住した孤児が、中国に残る養父母等に対し、負担すべき扶養費の二分の一は、日本国政府が援助する。扶養費の標準額、支払方法等については日中双方が別途協議する。

 (4) 日本政府は、孤児が希望する場合には、在日親族の有無にかかわらず、その同伴する中国の家族とともに日本への永住を受け入れる。