データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 中曾根内閣総理大臣の中国訪問関連文書,中曾根内閣総理大臣歓迎晩餐会における胡総書記スピーチ

[場所] 北京
[年月日] 1986年11月8日
[出典] 外交青書31号,377−378頁.
[備考] 中国側翻訳
[全文]

尊敬する中曾根康弘内閣総理大臣閣下,

尊敬する日本の貴賓の皆様,

友人の皆様,同志の皆様,

この度,首相閣下の私の招きに応じられ,中日青年交流センターの定礎式出席のため,わが国にお越しになり,本日午後,私たちは中日友好事業の後継者を養成する大厦のために最初の土をかけたのであります。そして,いま私たちは又一堂に会し,首相閣下並びに日本の貴賓の方々を歓迎する中国人民の気持を表し、私及び在席のすべての中国の同僚はみな大きな喜びを覚えています。

首相閣下と知り合ってから,私たちの間ではすでに何回にもわたって,友好的な会見を重ね,ただいま,私たちは又極めてなごやかな雰囲気の中で,共に関心を寄せている諸問題について,隔意なく意見を交換しました。私たちはみな双方の間にすでにきずきあげられた真摯な友情を非常に大切にし,且又これをわれわれ二つの民族,両国人民の友好往来の縮図と見なしており,われわれ両国間の友好関係とともに,この友情を絶えず発展させていきたいと念願するものであります。

近年来の両国関係を回顧すれば,われわれ両国の指導者によって共に確立された「平和友好,平等互恵,相互信頼,長期安定」という4原則はすでに人心にいっそう深く入り込んでおり,中日両国の友好協力に尽力されている両国の朝野各界のたゆまない努力は,より実り豊かな成果を収めつつあり,中日友好21世紀委員会の双方委員の方々も次の世紀ひいてはより長期にわたる両国の友好を切り開くために多くの有益なお仕事をなされてきました。実践によって十分に立証されたように,今日の中日善隣友好関係がわれわれ両国に重要な利益をもたらし、しかも,アジアひいては世界の平和の擁護のために積極的な役割を果たしています。人々は,社会体制とイデオロギーの差異をのりこえ,中日友好事業を断固として変わることなく新しい世紀に推し進めていくことは歴史がわれわれの世代に賦与した崇高な使命であるこということをますますはっきり認識するようになりました。

両国の友好関係の発展は,首相閣下の貴重なご貢献とかけ離れることはできません。長い間,閣下はずっと中日友好に確固たる信念を抱かれ,そのために大きな情熱と心血をそそがれ,とりわけ両国関係にかかわ一部の重要な問題に対し,高度の責任感と政治家の風格で,適時に両国の友好大局にプラスになる賢明なご決断を下されました。これに対し私たちは,大いに賞賛するものであります。ここで重ねて申し上げたいのですが,かつて中日友好事業のために尽力された貴国の朝野各界の方々はみな中国人民の忘れることのない友人であり,中日友好を志ざすそれらの方々の真心を込めた友情は,日本人民に対する中国人民の友情とともに,われわれの後世の子子孫孫の心に永遠にきざまれることでありましょう。

友人の皆様,同志の皆様

来年は両国人民が同慶すべき中日国交正常化15周年にあたりますが,過去を回顧し,未来を展望する際,私は両国関係の未来に自信に満ちています。中日往来の歴史的移り変わりはすでに私たちに色々な教訓,利益及び啓発をあたえ,国交正常化以後の友好協力は又私たちのために,極めて貴重な経験を積み重ねましたが,それは即ち,いかなる状況の下でも,私たち双方は誠意を持って相接し、互いに信頼しあうべきであり,中日共同声明及び中日平和友好条約を厳守すべきであります。得難い友好的な局面を大切にし,生じた問題を適時に善処すべきであります。このようにすれば,私たちは絶えず両国関係の健全な発展を推進することができ,両国及び両国人民のためにより大きな貢献をなすことができます。

それでは,乾杯の提案をしたいと思います。

日本国の御繁栄と人民の御多幸のために,

中日善隣友好協力の長期にわたる安定した発展のために,

 中曾根康弘内閣総理大臣閣下の御健康のために,

中江要介大使及び日本の貴賓の方々の御在席の友人の皆様,同志の皆様の御健康のために,

乾杯。