データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 中国への渡航自粛勧告解除

[場所] 
[年月日] 1989年9月25日
[出典] 日中関係基本資料集、757−758頁.
[備考] 
[全文]

1、邦人の中国渡航に関しては、当方より、六月七日付で、万やむを得ない人を除き、当面渡航を差し控えることが望ましい旨の情報(いわゆる「渡航自粛勧告」)を発出し、その後、中国の状況の推移を踏まえ、八月十八日付で、北京市以外の地域についてこれを解除する趣旨の情報を発出したところですが、最近の北京市の社会・治安状況を見ると、差し迫った、現実的な危険は予想されなくなっていることから、今般、北京市についても解除することとしました。従って、今後、同地への渡航も、自己の責任と判断により、これを行うこととされて結構です。

(これにより、六月七日に発出された北京市在留邦人への退避勧告も、最終的に解除されることになります。)

2、ただし、右は、北京市を訪問する邦人の安全を保証するとの趣旨ではありません。先般、約四千名の北京在留邦人が避難帰国するに到った、あのような予想外の事態が現実に発生し、現在もなお戒厳令下にある事実等に鑑みれば、中国(特に北京市)を訪問される方々は、引続き現地の情勢に充分注意され、安全確保について、細心の配慮を払われることが不可欠です。

(例えば、北京市では、夜間外出や兵士の写真撮影は控えることが賢明であること、天安門広場には事前に許可がなければ入れないこと、中国の法律を遵守し、政府批判と受け取られるような行動は慎むこと、日本人として目立った行動は差し控えること、国慶節を前に北京市では治安維持面に若干の緊張が見られること等の注意事項を念頭におく必要があります。)

 また、我が国大使館、総領事館から発出される注意事項等にも留意の上、特に万が一問題が生じた際には、直ちに、最寄りの公館に連絡してください。

(なお、三ケ月以上滞在される方は、旅券法第十六条の規定に従い、現地到着後、我が大使館もしくは総領事館へ「在留届」を提出して下さい。)

3、上記の趣旨は、旅行業等多数の邦人の安全確保につき責に任ずる諸団体においては、特に周知徹底をお願いします。

(本件に関する問い合わせ先)

 東京都千代田区霞が関二—二—一

 外務大臣官房領事移住部邦人保護課内

 海外安全相談センター

 電話(代)〇三—五八○—三三一一(内)二三〇六

(直)〇三—五八一—三七四九