データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「国連平和協力法」案審議についての外交部責任者の談話

[場所] 
[年月日] 1990年10月20日
[出典] 日中関係基本資料集、760‐761頁.
[備考] 
[全文]

 中国政府は、日本政府が自衛隊を派遣して国連平和協力隊に参加させることで慎重な態度をとるよう希望すると重ねて表明した。十月十八日の記者会見で、中国外交部の女性スポークスマンは初めて政府を代表してこの意見を述べた。

 中国外交部の責任者は十月二十日、日本政府が海外派兵を準備している問題についてまた次のような談話を発表した。

 日本国会はいま日本政府がとりまとめた「国連平和協力法」を審議している。この法案が解決しようとする核心の問題は日本の戦後四十五年来海外派兵ができないという禁制を突破することである。この問題は日本国内で不満を買ったし、アジアの隣国でも不安を引き起こした。

 日本軍国主義が過去に発動したあの侵略戦争で中国人民とアジア各国人民に重大なわざわいをもたらしたことは今なお人々の記憶に新しい。そのため、日本が海外に自衛隊を派遣する問題は日本の内外でいずれもきわめて敏感な問題となっている。日本国民を含むアジア各国人民が日本政府のこの行動に対して示した強い反応は全く道理があるものである。中国政府はすでに繰り返し日本政府がこれらの要素を十分に考慮し、慎重に事を進めるよう希望することを表明した。さもなければ、アジア各国人民の感情を傷つけることは避けられず、ついには日本自身にとっても不利なものとなるであろう。