[文書名] 日中友好二十一世紀委員会第七回全体会合開会式における海部内閣総理大臣の挨拶
張香山座長,石川忠雄座長はじめ両国委員の皆さま,楊振亜大使閣下
本日,日中友好二十一世紀委員会第七回全体会合の開会式がとり行われるに当たり,日本政府と国民を代表してお祝い申し上げますとともに,今次会議のため来日された中国側委員の方々に対し心から歓迎の意を表します。
日中両国関係は,日中双方の努力により着実に改善を遂げつつあります。節目節目に有益な仕事をしてこられた日中友好二十一世紀委員会の各位及び両国の関係者の方々のご尽力に対し衷心より敬意を表します。
私自身,総理大臣就任以来,日中関係を大切にするとの立場から,微力を尽くして参りましたが,現在の日中両国関係は,恰も一陽来復,暖かい日差しに満ちた春の訪れを迎えた感があり,ご同慶の至りであります。
日中友好協力関係を維持し発展させることは決して容易なことではありません。この両国間の大切な関係を着実に前進させ,更に暖かいものとするよう日中双方が努力を続ける必要があります。私自身,双方にとって都合のよい時期に中国を訪れ日中友好協力関係を更に強固なものとする上で,いささかでも貢献できればと思っております。
現在,世界は大きな変化の渦中にあります。古い東西対立の枠組みは崩壊しましたが,新たな国際秩序は未形成であります。湾岸,ソ連,東ヨーロッパなどの地域で激動が続いてきております。世界が不安定になればなるほど日中両国は,アジア・太平洋ひいては世界の平和と安定に大きな責任を有する国として対話を強化し,両国関係の維持・発展に努め,新たな国際秩序の形成についても積極的な役割を果たしていくことが求められていると思います。
明年は日中国交正常化二十周年という記念すべき年であります。日本では青年が二十歳になると成人式を行う慣わしがありますが,日中関係を人の一生に例えれば,明年に一つの大きな節目を迎えることとなります。この点から見れば,今回の日中友好二十一世紀委員会全体会合は,この会議の良き伝統を充分に発揮して,日中関係のこれまでの歩みについて忌憚なく総括するとともに,揺れ動く世界の中での日中関係のあり方を探求する貴重な機会であるように思います。各委員が二十一世紀を見通す大局的な見地に立ち,日中両国の友好協力関係を更に強固なものとし,世界に貢献する日中関係を作り出すため,積極的かつ有意義な討論を行って頂くことを切に希望致します。
全体会合はこれから福島県へ場所を移して行われることとなりますが,磐梯山の麓の清新な空気の下で十分討論を尽くされ,双方にとって実りの多い成果を収められるよう期待しております。皆さまからのご報告を今から楽しみと致しつつ,私の挨拶とさせて頂きます。