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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 戦争被害に係る民間賠償請求について銭其●{王へんに深のつくり}国務委員兼外交部長の記者会見談話

[場所] 
[年月日] 1992年3月23日
[出典] 日中関係基本資料集、779‐780頁.
[備考] 
[全文]

 三月二十三日、中国の銭其●{王へんに深のつくり}外相は、記者会見で記者よりの質問に答え、本件民間賠償請求の動きに対し、以下のように述べた。

 チャイナ・デイリー記者 日本軍国主義勢力は、中国侵略の間、中国人民に深刻な災難をもたらした。一部の全人代・政治協商会議の代表及び委員は、日本政府が中国に対し民間賠償を行うよう要求していると承知しているが、本件に対する銭外交部長の考え如何。

 銭外交部長 日清戦争から抗日戦争勝利に到るまで、日本軍国主義は半世紀もの長きにわたって中国人民に深刻な災難を被らせた。中国侵略戦争によってもたらされた幾つかの複雑な問題に対し、日本側は適切に処理を行うべきである。戦争賠償の問題については、中国政府は、一九七二年の『日中共同声明』の中で明確に表明を行っており、かかる立場に変化はない。人民代表は、議案と建議を提出する権利を有しており、人民代表大会書記局が議案に責任を有する機構であって、規定に従って議案と建議を処理することとなろう。

(一九九二・三・二十四、人民日報)