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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 参議院外務委員会アジア・太平洋に関する小委員会で採択された「中台問題の平和的解決に関する提言」

[場所] 
[年月日] 1996年5月16日
[出典] 日中関係基本資料集、825−826頁.
[備考] 
[全文]

中国・台湾情勢に関する決議

中台関係は、昨年一月に江八点(江沢民・国家主席の台湾政策八項目提案)、四月に李六点(李登輝・台湾総統の六項目提案)が提案されたが、同年六月の李登輝総統訪米を契機に中台双方の軍事演習が活発化し、緊張が激化した。

そうした中で本年三月二十三日、台湾において初の民選による指導者選出の選挙が行われたが、この選挙をはさんで中国は、台湾付近でミサイル発射訓練、海・空軍実弾演習及び陸海空統合演習を実施した。一方、米国は、同時期に空母インディペンデンス及びニミッツを含む艦船を台湾周辺海域に派遣した。

もとより我々は、一九七二年の日中共同声明、一九七八年の日中平和友好条約に基づき、日中両国民の更なる善隣友好関係の増進を願うものであるが、今回の軍事的諸行動には関心を持たざるをえない。また、台湾海峡における緊張の高まりを深く憂慮するものである。

(1)、台湾問題は、中台双方による自主的、平和的な話し合いによって解決されるべきであり、これが妨げられるようなことがあってはならない。

(2)、台湾海峡における軍事的緊張が、中台双方の軍備増強につながり、アジア近隣諸国の安全保障上の警戒心を招き、すでに顕在化しつつあるアジアの軍拡競争に拍車がかかるような事態を回避するための措置が速やかに講じられるよう強く希望する。

(3)、台湾が、自らの努力により民主主義の制度化に尽力しつつあり、民選により指導者を選出したことを歓迎するとともに、中台双方が民主主義と人権の保障を発展させ、より開かれた社会を建設していくよう期待する。

(4)、中国経済及び台湾経済が持続的に発展し、かつ、資本、技術、市場をめぐる中台経済関係が発展していることを歓迎し、これがアジア・太平洋における持続可能な成長に貢献することを期待する。

(5)、日中両国政府のすべての分野における対話をいっそう充実させ、こうした対話を議会間交流、民間交流などの各レベルでも緊密に行うことにより、日中両国間の相互理解をいっそう深めるとともに、両国関係がアジア・太平洋の平和と安定に貢献するよう積極的に努力すべきである。

右、決議する。