データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 中華人民共和国外交部声明

[場所] 
[年月日] 1996年6月8日
[出典] 日中関係基本資料集、827−828頁.
[備考] 
[全文]

 中国は今後九月以前にもう一度核実験を行ない、その後、核実験を一時停止する。

 中華人民共和国外交部は、六月八日、わが国が今日核実験を行なったことについて声明を発表した。声明の全文は次の通り。

 中国は一九九六年六月八日に核実験を行なった。

 中国は核兵器の全面禁止と完全廃棄を主張し、この目標に向かって前進する過程で核実験の全面禁止を実現することに賛成するものである。早くも一九九三年十月、中国政府はすでに、中国は一九九六年より遅くない時期に包括的核実験禁止条約の締結を目指すことを主張するむね明らかにした。その後、中国代表団はジュネーブの包括的核実験禁止条約の交渉に積極的に参加した。中国は各国とともに引き続き努力し、年内に公正かつ合理的で、査察が可能で、普遍的に参加し、永久的な効力のある条約を締結することを目指す。

 中国が少量の核兵器を保有するのは、まったく自衛のためであり、いかなる国にとっても脅威にならない。中国は、いかなるとき、いかなる状況のもとでも、核兵器を最初に使用しないことを一方的に厳かに約束するとともに、非核保有国と非核地帯に対し核兵器を使用したり、あるいは核兵器の使用をもって脅さないと言う義務を負うことにした。それと同時に、中国はその他の核保有国が中国の主張に積極的に呼応し、ただちに核兵器相互先制不使用条約の締結について交渉するとともに、無条件に非核保有国と非核地帯に対し核兵器を使用したり、あるいはそれをおどしに使わないことで合意するよう強く呼びかける。

 今日の世界では、依然としてぼうだいな核兵器庫が存在し、核兵器を最初に使用する核戦争の脅威が存在している。こうした状況のもとで、国と民族の最高利益を保護するために、中国は必要な最小の核実験を行なわざるをえないのである。われわれは核実験を行なう面で一貫してきわめて抑制のある態度をとっており、実験の回数も極めて限られたものである。

 中国政府と人民は世界各国の政府と人民とともに、核兵器のない世界という崇高な目標の早期実現、恒久的な平和と普遍的な安全の擁護のために、たゆまずに最大の努力をする。

 上述の立場により、中国政府は、今年の九月以前に、中国は核兵器の安全性をチェックするためにもう一度核実験を行ない、それ以降、中国は核実験を一時停止することを明らかにするものである。

(一九九六・六・十八、『北京週報』)