[文書名] 中華人民共和国政府声明(核実験の暫時停止を表明)
中国は、一九九六年七月三十日より核実験を暫時停止する。
一九九六年七月二十九日、中国は核実験を成功裏に行った。中華人民共和国政府は、九六年七月三十日から核実験を凍結することを厳かに発表する。中国がこの重要な決定を行ったのは、広範な非核保有国の要望に応えるためであり、またそれは核軍縮を促進するための実際行動でもある。
六四年十月十六日の第一回核実験から、中国は三十余年の労力を経て、いまや有能で、有効な核自衛力を築きあげている。中国の広範な労働力、科学技術者、中国人民解放軍の指揮員、戦闘員および国防力整備に携わるすべての職員は、極めて困難な集件の下、自力更生、発奮富強の精神を発揚し、様牲を恐れず、刻苦奮闘し、中国の核兵器の研究、製造と開発のために不滅の歴史的功績を立て、中華民族の意気を高め、中国の平和を守る力を強めた。中国政府と人民は彼らに心からの慰問の意と敬意を表すものである。
中国は独立自主の平和外交政策を堅持し、一貫して核兵器の全面禁止と完全廃棄を主張している。中国の核兵器開発の決定は、特定の歴史的集件の下で、やむを得ず行われたものである。近代の百余年間に、中華民族は幾多の苦難をなめ、何度も外国の侵略と蹂躪{じゅうりんとルビ}を受け、戦争の災難をなめ尽くした。新中国成立後も依然として、核兵器の脅威を含む機争の脅成を受けた。中国が生存し、発展するには、他の選択はなかった。われわれが少量の核兵器を研究、製造し、開発するのは、他国を脅すためではなく、まったく防御のためである。自街{前1文字ママ}のためであり、国家の独立、主権と領土保全を守り、人民の平和で安らかな生活を守るためである。中国が核兵器を開発するのはまた、世界の平和を守るためであり、核恐喝と核威嚇を打ち破り、核戦争を防止し、最終的に核兵器を削減するためである。
中国は核兵器を保有した最初の日から、いついかなる状況のもとでも、先に核兵器を使用することはないと厳かに声明している。中国はまた、非核保有国や非核地帯に対して核兵器を使用せず、核兵器使用の脅しをかけないことを無条件に約束している。中国は世界で、このような約束をし、それを固く守っている唯一の核保有国である。中国は国外に核兵器を配備したことはなく、他国に対して核兵器を使用し、または使用の脅しをかけたこともない。
中国は平和愛好国であり、世界の平和と安定を守る重要な力である。中国は完全核軍縮の目標に向けて前進する過程で、核兵器実験爆発の全面禁止を実現することに賛成である。中国はジュネーブの包括的核実験禁止条約(CTBT)交渉に積極的に参加し、今年中に協議一致によって、公正、合理的、検証可能で、普遍的に参加し、永久に有効な条約を締結することを目指している。中国は国際社会の他の構成員とともに、このために引き続き努力することを願っている。
核実験の停止は核軍縮プロセスの重要な一歩である。人類に覆い被さっている核戦争の危険を急速に取り払うため、全世界的範囲の恒久平和と普遍的安全保障の実現を目指すため、中国政府は世界各国、特に核保有国に次のように呼びかける。
一、核大国は核抑止政策を放棄する。大量の核兵器を保有している国は、引き続き核兵器を大幅に削減する。
二、すべての核保有国はいついかなる状況のもとでも、先に核兵器を使用しない義務を負い、非核保有国や非核地帯に対して核兵器を使用せず、使用の脅しをかけないことを無条件に約束し、これについて早急に国際的法律文書を締結する。
三、外国に核兵器を配備している国は、これらの兵器をすべて自国へ撤収する。すべての核保有国は非核地帯設置の主張を支持することを約束し、非核地帯の地位を尊重し、相応の残務を負う。
四、各国は宇宙兵器システムおよび戦略的安全と安定を破壊するミサイル防衛システムを開発せず、配備しない。
五、各国は核兵器の全面禁止、完全廃棄について交渉し、国際条約を締結する。
核兵器のない世界を実現し、各国の平和、安全、安定と繁栄を確保することは、世界各国人民の強い願いである。われわれは核戦争が永遠に起こらないよう心から望んでいる。われわれは、平和を愛する全世界のすべての国と人民が共に努力するならば、核戦争は防止できると碓{前1文字ママ}信している。人類は二十世紀に核兵器を製造できた以上、二十一世紀に核兵器を完全に廃絶する能力を完全に持っているはずだ。中国政府と人民は世界各国政府、人民とともに、この崇高な目標実現のために奮闘努力することを願っている。
(一九九六・八・一、『日中月報』)