[文書名] 日本国政府及び中華人民共和国政府による環境保護協力の一層の強化に関する共同声明
日本国政府及び中華人民共和国政府(以下「双方」という。)は、
環境問題の地域性及び地球規模性、特に東アジア地域の環境問題の緊迫性及び重要性並びに両国が環境分野で直面する挑戦を認識し、
環境問題の解決には、社会経済の発展に関するマクロ政策を合わせて、全体的に考慮するとともに総合的に協調を図ることが必要であると認識し、
2002年の持続可能な開発に関する世界首脳会議において発表された「持続可能な開発に関するヨハネスブルグ宣言」に従い、
環境保護分野における協力の展開が両国の利益に合致するものであること、日中の戦略的互恵関係の構築に助力すること、東アジア地域及び世界の持続可能な開発を推進することに有益であることを確信し、
以下の分野における協力を一層強化していくことで一致した。
一、飲用水源地保護を強化し、河川・湖沼・海洋・地下水の汚染を防止し、特に渤海・黄海区域及び長江流域などの重要水域における水質汚濁防止について協力を実施する。
二、循環経済の理念を積極的に推進し、青島などの循環経済実験区モデルを建設・拡充し、廃棄物の減量化・再生利用及び資源化を全力で実施し、廃棄物回収・再生利用基準の研究の協力を行い、企業環境保護監督員制度において協力を行う。
三、大気汚染物質の排出抑制、特に二酸化硫黄の排出削減及び黄砂の防止のため、日中間の酸性雨及び黄砂モニタリング・ネットワーク整備計画を有効に実施し、その予期される成果の地域環境協力への活用を実施し、石炭火力発電所の脱硫・脱硝等の技術移転及び協力を実施する。
四、「気候変動に関する国際連合枠組条約」及びその「京都議定書」の枠組みの下で、改めて、双方は「共通に有しているが差異のある責任」の原則に基づき、国際的な協力を通じて気候変動問題の解決に関する努力を行うという政治的決意を表明する。双方は、上述の条約及び議定書の原則及び規定に基づき、2013年以降の実効的な枠組みの構築に関する過程に積極的に参加する。双方は、クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップにおける協力及び協議を強化し、実務的協力を推進し、「京都議定書」の下でのクリーン開発メカニズムプロジェクトの協力を引き続き行う。
五、残留性有機汚染物質(POPs)を含む有害化学物質のモニタリング及び管理政策に関する交流と協力を共同で実施し、廃棄物、特に電気・電子廃棄物及び有害廃棄物の輸出入管理と検査検疫についての協力メカニズムを構築し、情報交換及び処理・処置技術協力を強化し、廃棄物の違法越境移動及び海洋漂流ゴミの越境汚染を共同で防止する。
六、双方は、「日中民間緑化協力委員会」などの機構が中国の造林及び緑化に果たしている重要な役割を積極的に評価し、同委員会の植林及び造林分野における活動を一層推進し、支持するとともに、持続可能な森林経営に協力して取り組んでいく。
七、双方は、日中韓三カ国環境大臣会合、北東アジア地域環境協力、北西太平洋地域海行動計画、東アジア酸性雨モニタリング・ネットワーク、ASEAN+3等の地域環境協力メカニズムの協力を積極的に推進し、本地域の持続可能な開発を促進する。
八、公衆の環境意識が、環境保護事業において重要な役割を果たすことを確認し、持続可能な開発と環境保護に関する普及啓発・教育への協力を積極的に展開し、環境科学知識の普及、公衆の意識の啓発、環境に関する普及啓発・教育に携わる関係者及び組織の能力の強化、普及啓発・教育方法を充実させることに重点を置いて取り組む。
九、日中環境保護合同委員会が両国の環境保護協力に重要な役割を果たしており、本協力メカニズムの協調効果を発揮し、本メカニズムの下の協力と政策対話を強化することを確認した。日中環境協力総合フォーラムが果たしてきた重要な役割を積極的に評価し、この基礎の上に、両国の学界、企業及び民間人が両国の環境保護に関する協力活動に積極的に参加することを奨励し、技術交流及び技術移転において注意が払われるべき知的財産権の利用及び保護を重視する。
十、日中友好環境保全センターの両国の環境保護協力における窓口及び架け橋としての役割をより一層発揮させ、両国の環境保護技術の移転及び協力のプラットフォームとし、先進的環境技術の移転及び研究開発協力を推進する。
上述の協力は双方の関係部門での更なる協議を通じて、具体的に実施していくこととした。
日本国政府代表
中華人民共和国政府代表
2007年4月11日 於東京