データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 胡錦濤中国主席の早稲田大学における記念講演

[場所] 東京
[年月日] 2008年5月8日
[出典] 早稲田大学
[備考] 
[全文]

尊敬する白井克彦総長、尊敬する河野洋平先生、

諸先生方、学生の皆さん、友人の皆様:

 先ず始めに、白井克彦総長のお招きに感謝申し上げます。本日は、有名な学府であるここ早稲田大学に参りまして、青年諸君と諸先生方と一堂に会する機会を得ましたことを大変嬉しく思います。中国人民を代表して、ご臨席の皆様、日本国民の皆様に心よりご挨拶と祝福を申し上げたいと存じます。

 早稲田大学は中国の人々によく知られている学府であり、中国と深い繋がりがあります。早くも20世紀の初期において、早稲田大学は数千人もの中国からの留学生を受け入れました。中国の近代史において重要な影響を持つ廖仲凱(りょう・ちゅうがい)先生、李大●{金へんにりっとう}(り・たいしょう)先生、陳独秀(ちん・どくしゅう)先生、彭湃(ほう・はい)先生等はここで学問に励んだことがあります。今日、早稲田大学は中国の多くの大学及び研究機関と良好な関係を持ち、幅広い学術交流を展開し、両国の人的文化交流を推し進めるために積極的な役割を果たされました。

 ここに参りまして、思わず私が知っている日本の友人、竹下登先生、海部俊樹先生、小渕恵三先生、森喜朗先生、福田康夫先生、河野洋平先生のことを思い出します。彼らは皆早稲田の出身であり、日本の発展のために、そして中日友好事業のために貢献された方々です。昨年、早稲田大学創立125周年の際、貴学は「世界市民を育成する世界的な大学」、「21世紀へ挑戦する開かれた大学」を目指すことを打ち出しました。これはまさに時代の流れが求めているものです。貴学ではより多くの英才を育成し、日本の経済と社会の発展のために、人類の進歩のために、より大きな貢献をすることを衷心よりお祈り申し上げます。

 中日両国は一衣帯水の隣国であり、両国関係は今正に新たな歴史的スタートラインに立ち、更なる発展の新たなチャンスに恵まれています。この度私は、中国国民の日本国民への友情、そして中日関係の発展への真摯な期待を抱いて、貴国を訪れたのであります。中国政府と中国国民は、日本政府及び日本国民と共に努力して、相互信頼を強化し、友情を深め、協力を進め、将来を企画し、中日戦略的互恵関係の全面的発展の新たな局面を切り開いて行くことを切に望んでおります。

諸先生方、学生の皆さん、友人の皆様:

 「世界の道は早稲田に通じる」。これは早稲田大学の名言であります。中日関係の長期的健全的かつ安定した発展を推進し、両国国民の世世代々の友好を実現するには、両国国民同士の相互理解を絶えず深めていかなければなりません。ここで、私は歴史と現実の視点から中国のことについてお話ししたいと思います。皆様の中国に対する認識をより深めることにお役に立てば幸いです。

 中国は悠久なる歴史を有する国であり、また、大きな変革が起こりつつある国でもあります。5000年余りに亘る長い文明の発展の過程において、中華民族は勤勉さと英知に富んだ民族性、鋭意進取の創造力、自彊してやまない奮闘精神をもって輝かしい中華文明を創造し、人類文明の進歩のために重要かつ大きな貢献をしました。他方、中国は苦難に満ちた道を歩んできました。とりわけ1840年のアヘン戦争以降、封建統治の腐敗と帝国主義列強の侵略によって、中国は艱難辛苦を嘗め尽くしてきました。貧弱でしいたげられる状祝を変え、民族復興の夢を実現するため、中国人民は奮い立って抗争し、確固たる決意で自立を求めてきました。1911年の辛亥革命によって中国を数千年統治してきた専制君主制度を打ち倒して以来、中国の発展は主に三つの段階を経てきました。まず一つ目に、1911年から1949年までです。中国人民は長きに亘り多大な犠牲を払って奮闘した結果、民族の独立と人民の解放を実現し、人民が主人公となる新しい中国を樹立しました。それが、中国の発展と繁栄のための根本的な条件を創り上げました。二つ目に、1949年から1978年までです。中国は社会主義制度を確立し、歴史上最も重大な社会的変革を実現しました。中国人民は並々ならぬ努力を経て国家建設の大きな業績を成し遂げました。三つ目に、1978年から今日までです。中国人民は果敢に改革開放の偉大なる道を歩み始め、新たな歴史的条件の下での新たな偉大なる革命を始めました。

 今年は中国改革開放30周年であり、中国と中国人民にとって特別な意義を持つ年であります。30年来、中国は、高度に中央集権的な計画経済から活力に満ちた社会主義市場経済へ、そして閉鎖的あるいは半閉鎖的状況から全方位の開放へと、偉大なる歴史的転換を成功裏に実現しました。中国の経済規模は世界十一位から四位に躍進し、中国は世界第三の貿易大国となり、中国人民の生活水準も十分な衣食が得られなかった状態から一応まずまずの生活を送れるところまで発展しました。中国は歴史的な変貌を遂げました。

 改革開放の偉大なる実践において、私たちは、今日の世界の競争が日増しにその激しさを増している中で、一つの国、一つの民族が発展するには必ず鋭意改革し、発展に力点を置き、開放を堅持し、人間を一番大事にし、調和を促進しなければならないことを、つくづくと認識しております。鋭意改革とは、時代の流れに順応し、勇敢に変革し、新たなものを創り上げ、断固として発展を妨げるあらゆる思想と観念を打ち破り、発展を束縛するあらゆる規定とやり方を変え、発展にマイナスな影響を与えるあらゆる体制のひずみを取り除いて、社会の発展と進歩に強い原動力を提供することであります。発展に力点を置くとは、終始発展を何よりも重要な任務として、科学的発展を堅持しながら、発展の原理を把握し、発展の理念を新たにし、発展の方式を転換し、発展の難題を解明することに力をいれ、社会の生産力を絶えず解放・発展させ、経済と社会の良好で快速な発展を実現することであります。開放を堅持するとは、門戸を開いて国づくりに取り組み、互恵とウィンウィンの上で全ての国と経済と技術協力を行い、人類社会が創ったあらゆる優れた文明の成果を学び、吸収し、世界の平和を守ることをもって自らを発展させると同時に、自らの発展をもって世界の平和を守っていくことであります。人間を一番大事にするとは、人民のために発展し、人民に頼って発展し、人民に発展の成果を分かち合ってもらい、人民の主体的地位を尊重し、人民の創造的イニシアチブを発揮させ、終始人民の声を第一号令とし、人民の利益を一番に据え置き、絶えず人民の物質的・文化的生活水準を高め、人間の全面的発展を促進することであります。調和を促進するとは、人民の最も関心ある、最も直接かつ現実的な利益問題の解決を重点とし、社会の公平と正義を促進し、社会の創造力を強めることに力を入れ、最大限に調和の要素を増やし、不協和音を減らして、人民が安住し楽しく働き、社会が安定と秩序を保ち、国家が末永く安定を保つのを確保することであります。

 「苟に日に新たにして、日々新たなり、又日に新たなり」、「天行は健なり、君子以って自彊して息まず」。これは、中華文明の先哲たちが宇宙万物を観察した上での重要な思想であると同時に、中華民族の自彊してやまない民族精神を明らかに示しただけに、中国で千年に亘って伝わってきた格言であります。今日の中国人民の価値観は、今の時代における自らの豊富な実践から来ているだけでなく、中華文明の深い礎をもその源としており、すでに中国人民が変革と創造を行い、時代と共に進んでいくのを励ます強い精神的力となりました。

 中国の改革開放のプロセスを総括し、中国人民は揺るぎ無い結論を得ました。すなわち、過去30年間の中国の急速な発展は、改革開放によるものであり、中国の将来の発展も改革開放に頼らなければなりません。改革開放は現在の中国の運命を決める肝心な決断であり、13億の中国人民が共に下した決断でもあります。

 かつてないほど大きな発展を遂げたにもかかわらず、中国は依然として世界最大の発展途上国であることを、私たちははっきりと認識しております。中国は人口が多く、基盤が弱く、発展がアンバランスであり、発展の中で生じた矛盾や問題はその規模にしても複雑さにしても、いずれも世界でまれに見るものであります。中国は十数億の人々に利益をもたらすような、より高いレベルの小康社会を建設し、近代化と国民全体の裕福を実現するには、まだまだ長い道のりがあり、根気よく努力を続けていかなければなりません。

 中国は引き続き中国の特色のある社会主義の道に沿って前進していきます。私たちは●{登におおざと/トウ}小平理論と「三つの代表」の重要思想を指針とし、科学的発展観を更に貫徹・実施し、都市と農村の発展、地域の発展、経済と社会の発展、人と自然の調和の取れた発展、国内の発展と対外開放などを総合的に計画して、民生問題の解決と発展の協調性の強化をより重視し、経済建設、政治建設、文化建設、社会建設を全面的に推進し、生産が発展し、生活が裕福で、生態が良好な文明発展の枠組みの構築に努力していきます。

 中国は終始変わることなく平和的発展の道を歩みます。これは中国政府と人民の戦略的な選択であります。この戦略的な選択は、中国の実情に立脚し、時代の流れに順応しており、中国の国内政策と対外政策の統一、中国人民の根本的利益と各国人民の共通利益の統一を表しており、中華民族の偉大なる復興を実現するのに歩まずにはおかない道であります。中国は確固として独立自主の平和外交政策を堅持し、互恵とウィンウィンの開放戦略をゆるぎなく堅持し、国際関係の民主化を推し進め、経済のグローバリゼーションが均衡、普遍的利益、ウィンウィンという方向に向かって発展するのを推進し、人類文明の交流を促進し、人類が生きるこの地球を守り、世界各国と共に発展のチャンスを分かち合い、リスクとチャレンジに対処して、恒久的平和、共同繁栄の調和世界の構築を推進していきます。中国は防御的な国防政策を取り、軍備競争をせず、いかなる国に対しても軍事的脅威にならず、永遠に覇権を唱えず、拡張しません。

諸先生方、学生の皆さん、友人の皆様:

 中日両国人民の友好往来は二千年以上にわたり、世界民族交流史上の奇跡とも言えましょう。長い歴史の中で、中日両国人民は学びあい、お互いの経験を参考にしあい、融合し合い、それぞれの国の進歩を促進すると同時に、東アジア文明と世界文明の宝庫をも豊富なものにしました。

 近代に入りまして、日本軍国主義が中国に対して侵略戦争を起こしたことによって、両国の友好関係は大いに破壊されました。この不幸な歴史は、中華民族に莫大な災難をもたらしただけでなく、日本国民にも大きな被害を与えました。歴史は最も哲理に富んだ教科書であります。私たちが歴史を銘記することを強調するのは、恨みを抱えつづけるためではなく、歴史を鏡とし、未来に向かうためであり、平和を大切にし、平和を守るためであり、そして中日両国人民が子々孫々にわたって友好的に付き合い、世界各国人民が永遠に平和を享受するためであります。

 1972年、中日国交正常化が実現され、両国関係の新たな一ページが開かれました。それ以来、中日関係は各分野において大きな発展を成し遂げました。両国間の貿易額は国交正常化当時の11億ドルから昨年の2360億ドルに増えました。昨年末までに、両国の友好都市は236組となり、人的往来は延べ544万人に達しました。中日関係の改善と発展は、両国と両国国民に実際の利益をもたらし、アジアと世界の平和と発展に重要な貢献をしました。

 今年は中日平和友好条約締結30周年であります。私たちは、中日平和友好条約の重要な歴史的意義を改めて考える時、中日友好事業のために多くの心血を注がれ、多大な努力を払われた古き世代の指導者と各界の有識者の方々を深く偲んでやみません。また、今日に至った中日友好協力の局面は実に容易なことではなく、これをより大切にすべきであるとのことをいっそう感じるようになります。

 中日関係は今新たな歴史的スタートラインに立ち、更なる発展の新たなチャンスに恵まれています。経済のグローバリゼーションが深まりつつある中、中日両国の共通利益は絶えず広がり、協力の空間は絶えず拡大し、国際社会と地域で担うべき責任はますます重くなっています。昨日、私と福田総理は実り多い会談を行ないました。双方は、中日戦略的互恵関係を全面的に深化させることについて幅広い共通認識に達し、両国関係の長期的健全的かつ安定した発展の全体的な枠組みを確定しました。双方は、ともに努力し、戦略的相互信頼を増進し、互恵協力を深化させ、人文交流を拡大し、アジアの振興を推進し、グローバルな挑戦に対処し、中日戦略的互恵関係をともに推進していくことについて一致しました。私は以上の事について次のような考え方を述べたいと思います。

 第一に、戦略的相互信頼の増進です。人間同士が友人となる前提は相互信頼です。国と国との関係を安定させる基礎も相互信頼にあります。中日両国はともにアジアと世界の重要な国であります。双方はお互いに相手の発展を客観的かつ正確に認識し、相手のことをゼロサムのライバルではなく、協力とウィンウィンのパートナーと見なすべきであり、お互いに相手の平和的発展を支持し、相手の発展を脅威ではなくチャンスと見なすべきであります。そして、お互いに相手の重大な関心と核心的利益を尊重し合い、対話と協議を通じて意見の相違を解決すべきであります。

 第二に、互恵協力の深化です。中日両国はお互いにとって最も重要な経済貿易のパートナーであります。双方は、両国の長年来の経済貿易協力の良好な枠組みを大切にし、両国経済の強い相互補完性、協力の大きな潜在力を十分生かし、省エネ、環境保護、金融、情報、知的財産権保護など重点分野の協力を強化し、両国の経済貿易協力を絶えずより高いレベルへ引き上げ、両国関係の物質的基礎を強固なものにすべきであります。

 第三に、人的文化交流の拡大です。人的交流は両国国民の相互理解を深める掛け橋であり、文化交流は両国の国民感情をつなげるきずなであります。私たちは、両国の人的文化交流を根気よく継続し、両国青少年交流の中長期的メカニズムの構築に力を入れ、中日の世世代々友好の社会的基礎をしっかりしたものにすべきであります。

 第四に、アジアの発展を促進することです。アジアの発展は中日両国の協調と協力を抜きにして語れないものであります。私たちは日本側及びアジア諸国とともに努力して、さまざまな形での地域協力、サブ地域協力を推進し、共同の安全を強化し、東アジアの平和と安定を守り、東アジア協力のプロセス及び東アジア共同体の建設をともに推進し、アジアの振興を促進する中で中日の共同発展を実現していきたいと思います。

 第五に、グローバルな挑戦に対処することです。今日の世界が直面している共通の課題は日増しに増え、テロ、気候変動、エネルギー問題、食糧問題、金融リスク、重大な自然災害、重大な伝染病、大量破壊兵器の拡散などは各国の発展と安定に影響を及ぼしています。各国は手を携えてこれに対処することが必要です。中国は日本とともに、各分野における国際協力に積極的に参加し、さまざまな課題に協力して対処する能力を高め、ともに人類の平和と発展という崇高なる事業を推進していきたいと思います。

諸先生方、学生の皆さん、友人の皆様:

 中日友好は両国国民の共同事業であり、両国国民はこのためにたゆまぬ努力をすることが必要です。日本国民との幅広いふれあいを通じまして、私は、中日友好の発展は日本においてしっかりした社会的基盤があることを強く感じました。長期にわたり、日本国民、社会各界及び友好団体の方々は中日の交流を積極的に推進し、友好協力は終始両国関係発展の主流であります。中国の近代化建設において、日本政府は中国に円借款協力を提供し、中国のインフラ建設、環境保護、エネルギー開発、科学技術の発展を支持し、中国の近代化建設を促進する上で積極的な役割を果たしました。日本各界の方々はさまざまな形で中国の近代化建設に暖かい支援を提供しました。大勢の日本の方々が中日友好事業のために心血を注がれたことを、中国人民は永遠に銘記していきます。

 日本国民は、勉学と創造に長じ、勤勉さ、英知と向上心に富んでいます。古くは1400余年前、日本は20回以上にわたって中国に遣隋使や遣唐使を派遣し、中国の制度、法令、律令を参考にし、仏教、漢字、技術を導入し、その上で自分自身の状況に合わせて独特な日本文化を形成させました。明治維新以降、日本国民は世界の先進的文明を学び、吸収し、日本をアジア最初の近代国家に発展させました。日本国民は限られた国土の上で世界の注目を集めるような発展の業績を成し遂げました。日本は製造業、情報、金融、物流などの分野において世界をリードし、世界一流の省エネと環境保護技術を有しています。これは、日本国民の誇りであり、中国国民が学ぶに値するものであります。

 ここで、私は両国の青年の皆さんにお話したいと思います。かつて貴学で勉強した李大●{金へんにりっとう}先生は、「世界に文明を、人類に幸福をもたらし、青春の我を以って、青春の人類を創造しよう」とおっしゃいました。両国青年は中日友好の新鋭であり、中日友好の未来は皆さんによって切り開かれるものであります。かつて長きにわたって青年に関する仕事に携わってきた私は、青年の皆さんに特別な感情を持っています。私は青年の皆さんと一緒にいるのが好きで、いつも青春と生命の活力を強く感じます。1984年、中国政府は3000人の日本青年を中国に招き、大規模な中日青年友好大交流を行いました。私は最初から最後までその大交流に参加し、日本青年の皆さんと朝から晩まで付き合い、深い友情を結びました。昨年6月、私たちは1984年の中日青年友好大交流に参加した日本の皆さんを中国に招聘しました。皆さんと再び一堂に会し、誠に感無量でございました。私は挨拶の中で、「月日は人々の顔を変えることができますが、友情を変えることはできません。」と申し上げました。このような経験から、私は青年時代に撒いた友好の種は、永遠に私たちの人生に伴ってくれると教わりました。私たちはともに努力し、中日友好の種を広く撒き、中日友好の旗印を子々孫々にわたって伝えていかなければなりません。

 今年は中日青少年友好交流年であります。双方は豊富多彩でさまざまな友好交流行事を行うことになっています。ここで発表したいと思います。中国政府は、100名の早稲田大学の学生の訪中を招聘することを決定致しました。ぜひご在席の学生の皆様もこの交流プログラムに参加し、中国を見てくるよう望んでいます。

諸先生方、学生の皆さん、友人の皆様:

 あと三ヶ月したら、第二十九回夏季オリンピック競技大会が北京で開かれます。福田総理から1964年の東京オリンピックに対する日本国民の深い感動を聞かせていただきましたが、私は深い感銘を受けました。中国国民は心を込めて北京オリンピックの成功を願っています。私たちは「一つの世界、一つの夢」とのスローガンを打ち出したのは、まさに北京オリンピックを通じて、団結、友情、平和のオリンピック精神を発揚し、世界各国の国民同士の相互理解と友情を増進するためであります。この場をお借りして、日本政府及び日本各界の方々から北京オリンピックへのご支援をいただいたことに感謝し、日本各界の方々が観戦のため北京を訪れることを歓迎し、そして日本の選手たちが北京オリンピックで大いに健闘されることをお祈りしたいと思います。

諸先生方、学生の皆さん、友人の皆様:

 早稲田の演劇博物館のアーチに「全世界は劇場なり」とのシェークスピアの名言が刻んであります。古今東西を見渡すと、世界の舞台で演出されたすべての演劇の主役はいずれも各国の人民であります。中日両国人民が手を携え、肩を並べて、中日協力の大舞台において、アジアを振興し、世界の平和と発展を促進する大舞台において、中日関係のより美しい未来をともに創り上げ、世界のより美しい未来を共に創り上げていくことを願ってやみません。

 ご清聴ありがとうございました。