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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 程永華駐日大使第7回中日省エネルギー・環境保護総合フォーラム開幕式での程永華大使のあいさつ

[場所] 
[年月日] 2012年8月6日
[出典] 中華人民共和国駐日本國大使館
[備考] 
[全文]

 尊敬する張平主任、高虎城副部長、

 尊敬する枝野幸男経済産業大臣、細野豪志環境大臣、

 尊敬する張富士夫会長

 友人の皆様、ご来賓の皆様

 こんにちは。

 中日双方の共同の努力で、第7回中日省エネルギー・環境保護総合フォーラムが本日、東京で開かれることに、駐日中国大使館を代表して心より祝福を申し上げ、今回のフォーラムに出席される中日両国政府の代表、企業家、関係各界の専門家、学者の皆様を心より歓迎するとともに、フォーラムを成功させるため、ご尽力いただいた双方の主催者に衷心より感謝申し上げます。

 中日省エネ・環境保護総合フォーラムは2006年の創設以来、両国でますます幅広く注目され、ますます多くの協力の成果をあげています。フォーラムの議題は年々広がり、参加する企業、人数も増え、これまでに171件の協力プロジェクトが調印されました。フォーラムを通じ、両国の省エネ環境保護分野の政策、人材、技術などの面の交流と協力が一段と強まっています。フォーラムは中日の戦略的互恵関係の重要な内容となり、新たな情勢の下で中日の経済・貿易協力の深まりを示す重要なものになっています。きょう、見渡したところ、1000人収容の会場に一つの空席もありません。これは両国政府と企業界の省エネ・環境保護協力強化に対する大きな熱意と期待を十分示し、私たちのフォーラムがますます充実し、歓迎されていることを示しています。今回のフォーラムは循環型経済、自動車、エコ建築、石炭・火力発電など従来の議題のほか、エネルギー管理システム、分散型電源など新しい議題も加わり、双方の省エネ・環境保護分野における協力の構想を広げ、協力を新たなステージに進めるのに役立つでしょう。

 友人の皆様

 グリーン経済を発展させ、持続可能な発展をはかることは、すでに全世界のコンセンサスとなっており、中日の省エネ・環境保護協力を深化させる重要な好機を迎えています。

 第一に、中日両国は共に「省エネ・環境保護」を国の発展戦略の重要な位置に据えています。現在、中国は工業化、都市化過程の肝心な時期にあり、省エネ・排出削減を大いに推進し、エネルギー効率を高め、環境の質的改善をはかり、資源節約型の環境に優しい社会を築くことが第12次5カ年計画(2011―15年)の重要な任務になっています。現在の計画では2015年までに中国のエネルギー消費密度を16%下げ、非化石エネルギーの比重を11.4%に高め、主な汚染物質の排出総量を8から10%下げることになっています。省エネ・環境保護産業は生産総額が年平均15%以上伸び、2015年には4兆5000億人民元(日本円で55兆1000億円)になるでしょう。各業界と各レベルの省・市政府は計画に基づき具体的行動プランを策定しました。日本政府は7月30日に国家戦略会議を開き、2020年までの中期経済成長戦略、すなわち「日本再生戦略」を定め、「省エネ・環境保護」を「日本再生」の三大プロジェクトの一つとしました。2020年末までに日本は省エネ・環境保護分野で50兆円(約6377億米㌦)の新規市場需要と140万の雇用創出を見込んでいます。

 第二に、中日の省エネ・環境保護分野の協力の潜在力は大きく、協力の余地は広がっています。中国は近年、省エネ・環境保護分野で長足の進歩をとげましたが、日本を含む先進国と比べ、まだ大きな差があります。日本の単位国内総生産(GDP)当たりエネルギー消費を「1」とすると、中国は「7.8」です。先日参加した博鰲(ボーアオ)フォーラム中日企業家交流会で、ある電力会社の担当者から、中国の火力発電の熱効率が37%なのに対し、日本は43%で、しかも石炭の燃焼による排出レベルは天然ガスと同じという話を聞きました。このことからも、中国はたえず日本から学び、導入、吸収する必要があります。

 第三に、エネルギー設備、新エネルギーなどの分野の協力互恵の基盤が形成されつつあります。中国は今や世界最大のエネルギー生産国、消費国となり、中国のエネルギー設備は長足の進歩をとげました。主なエネルギー設備は国内生産を実現し、特に風力、太陽光など新エネルギー分野における中国の進歩は目覚しいものです。石油代替産業の発展の面で中国は少なからぬ成果を収めており、例えば石炭由来オレフィンやコールオイルなどの分野は規模化生産を実現しました。中日両国の企業は「中国は日本製品の市場」、「日本は技術と設備の輸出国」という固定観念を改める必要があります。双方は既存の場と仕組みを生かし、積極的に新しい協力プロジェクトを開拓し、双方向の交流と協力を進めることができます。双方は新エネルギーと再生可能エネルギーの開発、資源節約、汚染対策、循環型経済発展などの分野で技術協力を強めることができます。先進的省エネ環境保護設備の研究開発、エネルギーの共同管理、省エネ・環境保護モデルプロジェクトの実施、人材育成の拡大、管理経験の交流、第三国での協力の積極的模索が可能です。

 友人の皆様。

 中日両国は互いに重要な隣国で、互恵ウィンウィンの中日関係を発展させることは両国と両国民の根本的利益にかなうものです。中国政府は常に日本との善隣友好協力関係を発展させており、この政策は変わることはありません。今年は中日国交正常化40周年で、「中日国民交流友好年」でもあり、双方は500余りの交流行事を計画しています。これらの行事を通じ相互理解を増進し、友好的な感情を高め、戦略的互恵関係を推進することを希望しています。同時に一部の下心のある者が中日間の敏感な問題を利用してもめごとを引き起こし、両国関係の発展を妨げ、両国民の感情的対立をあおることに警戒しなければなりません。中日両国の経済界は手を携え、共に努力し、各分野の協力をたえず深め、協力の基盤を固め、利益の結びつきを固め、両国民と世界に中日協力の成果を示し、両国関係における雑音を排除し、中日の戦略的互恵関係の健全で安定した発展を確固たるものにしなければなりません。

 最後に、今回の中日省エネ・環境保護総合フォーラムの成功を祈ります。

 ありがとうございました。