データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日仏共同コミュニケ(1962年)

[場所] 
[年月日] 1962年11月12日
[出典] 外交青書7号,23頁.
[備考] 
[全文]

 池田総理大臣はフランス共和国政府の招待により、宮沢経済企画庁長官以下の随員を伴い、フランスを公式訪問し、一九六二年十一月八日から十二日まで滞在した。池田総理大臣は滞仏中、ド・ゴール大統領に謁見し、ポンピドー首相およびクーヴ・ド・ミュルヴィル外相と会談した。極めて友好的な雰囲気のうちに行なわれたこれらの会談は、去る九月パリで大平外務大臣がフランス政府と行なった会談に引続くもので、欧州の諸問題およびアジアの諸問題を含む国際政治の主要課題について隔意ない意見の交換が行なわれた。その際、自由世界の利益を擁護し自由と正義に基づく平和を維持せんとする両国の間に広範な見解の一致を見た。

 両国首相は、両国間の貿易を拡大する必要があることにつき意見の一致を表明し、この方向に向ってすでに両国においてそれぞれなされた成果を認めるとともに、最近パリおよび東京で行なわれた貿易自由化措置および日仏貿易取決めの一九六三年三月三十一日までの延長に際しとられるべき諸措置が双方の輸出拡大に寄与することを確認した。前記の時期以降の両国間貿易はさらに拡大の方向において検討される。

 他方日仏貿易に対しできるだけ早い時期に恒久的な基礎を与えることが極めて望ましいことを確信し、両国政府は、無差別待遇の原則に基づきかつ両国に満足な形において、関税および貿易に関する一般協定に関し両国間に存在する懸案の解決を図るとともに、さらに一九一一年八月十九日の通商航海条約に代わるべき新たな通商条約を締結することを目的とする交渉を開始することについて合意した。

 両国首相は、さらに日本とOECD加盟国との間の経済関係の強化が大きな利益をもたらすものであることを認め、好意的な方向において日本の前記機構の諸活動への漸進的参加および将来の日本の加盟問題に言及した。

 他方両国の間に文化交流、学術交流および技術交流がますます発展している点について満足の意が表明された。

 両国民の相互の認識を深める意味で、これらの交流をさらに強化するためにあらゆる努力がなされることとなろう。

 両国首相は、友好促進の見地より共通の問題について両国政府首脳および当局者相互で定期的に協議を行なうことは、現在の日仏友好の絆をさらに強化することになることを認めた。