[文書名] 日本・ベルギー共同コミュニケ
池田総理大臣は、ベルギー王国政府の招待により、宮沢経済企画庁長官以下の随員を伴い一九六二年十一月一五日から一七日までベルギーを訪問した。
池田総理大臣は、ベルギー滞日中、ボードアン国王ならびにアルベール殿下に謁見し、また、ルフェーブル首相およびスパーク外相と会談した。両国首相は、極めて友好的雰囲気のうちに国際情勢一般にわたって意見を交換し、両国の関係が年をおって緊密の度を加えつつあることを満足をもって確認するとともに、等しく自由世界に属する両国が今後この関係を一層促進することに意見の一致をみた。両国首相は、無差別の原則に基づく両国間の貿易の増進、ならびに、日本と西欧諸国との経済関係の緊密化が両国の利益に合致するものであることを確認した。この点に関し、ルフェーブル首相およびスパーク外相は、すでに数ヵ月前ブラッスール大臣が言明したガット三十五条の援用を撤回するとのベルギー政府の意志を確認した。両国首相は、これに関する交渉をこのたびの大臣間の討議に照らしそれぞれ双方からなされた提案を基礎として直ちに開始すべきことに意見の一致をみた。池田総理大臣は、また、日本のOECDへの正式メンバーとしての加入の希望を表明したのに対し、ルフェーブル首相は、本問題を極めて好意的に検討すべきことを約した。両国首相は、欧州経済共同体の問題およびこれとの関係について話合いを行なった。
池田総理大臣は、欧州経済共同体が開放的なものとなり世界の福祉と繁栄に寄与せんことを希望し、ルフェーブル首相も同感の意を表するとともに右目的達成のため努力する旨を言明した。
両国首相は、両国間の文化交流を通じて両国民が相互の理解を深めることの重要性を確認し、今後ともかかる交流を増進すべきことに意見の一致をみた。
両国首相は、さきのアルベール殿下の訪日および今回の池田総理大臣のベルギー訪問が両国間の友好関係の増進上に有益な寄与をなしたことに満足の意を表明した。