[文書名] 日本・イタリア共同コミュニケ
池田総理大臣は、イタリア政府の招待により本月十七日より十九日までローマを公式に訪問した。池田総理大臣は、滞在中、共和国大統領に謁見した。池田総理大臣とファンファーニ首相との会談にはイタリア側からピッチョーニ副首相兼外務大臣、ラ・マルファ予算大臣およびルソ外務次官、日本側から宮沢国務大臣その他の随員が出席した。
この会談において、最近の国際情勢にてらし、一般政治情勢ならびに両国が自由と平和の確保のために行なっている活動について十分な検討が行なわれた。右会談は、両国間の友好関係の外に両国が正義と自由および進歩に基づく国際秩序の平和的強化のための努力を特に国連の場において増大する意図を有すること、また、有効な管理と査察を伴う全般的軍縮ならびに核実験停止の協定への速やかな到達を促進することについて再確認し、かつ強調した。国際間の経済協力において日本とOECDとの関係を増大することの有益なことが考慮され、また、将来日本がOECDに完全に参加することの可能性が好意的に検討された。イタリア政府は、将来日本の加入要請があればこれを支持する用意がある。池田総理大臣は、ヨーロッパの経済的および政治的統合に対し深い関心を示し、日本はかかる統合の目的とするところを認識し、評価しており、欧州経済共同体が第三国に対し開放的かつ自由な協力の原則に基づいて協同するよう希望を表明し、これに対し、イタリア側が右が欧州経済共同体の目的および方針に合致するものであることを指摘した。両国間の通商関係が発展しつつあることにつき満足の意が表明され、また、無差別の原則による自由化促進政策を通ずる通商増大の可能性が検討された。この目的のため近く訪日するイタリア経済使節団と近くローマで行なわれる日伊混合委員会の重要性が確認された。右会談において両国間における文化交流の重要性が確認され、とりわけ、日本アカデミアの建設は、その重要な一段階を画するものであり、今後ともこの文化交流を一層緊密化することにつき意見の一致をみた。池田総理大臣は、ファンファーニ首相に対し日本を訪問するよう公式に招待し、ファンファーニ首相は右招請を快諾し謝意を表した。池田総理大臣の訪問および滞在中に行なわれた会談により日伊両国間に存する友好関係が確認され、また、両国政府は、今後両国民の発展のためひいては全世界の自由かつ平和な進歩に寄与するため、あらゆる面における両国関係を緊密化することを約した。