データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本・オランダ共同コミュニケ

[場所] 
[年月日] 1962年11月23日
[出典] 外交青書7号,26頁.
[備考] 
[全文]

 池田総理大臣は、オランダ政府の招待により宮沢経済企画庁長官以下の随員を伴い一九六二年十一月二十一日オランダを訪問した。一行は二十三日まで滞在する。

 池田総理大臣は、オランダ滞在中、ユリアナ女王陛下に謁見し、またデ・クワイ首相およびデ・パウス経済相と会談した。両国首相は、一般国際情勢特に欧州経済共同体の問題およびこれと日本との関係について友好な雰囲気のうちに隔意なき意見の交換を行なった。

 両国首相は、等しく自由世界に属する両国が、伝統的に友好関係を一層増進し、共同の理念を実現するため、緊密に協力すべきことに意見の一致をみた。

 両国首相は、有効な管理と査察を伴つた一般的軍縮協定、特に核兵器実験停止協定が速やかに締結されるべきことに意見の一致をみた。

 両国首相は、無差別の原則に基づく両国間の貿易の増進ならびに日本と西欧諸国との経済関係の緊密化が両国の利益に合致することにつき意見の一致をみた。ガット三十五条の問題に関し、両国首相は同条撤回を目的とする交渉を、両国首相間の討議に照らし、かつ、双方から出された提案を基礎として、直ちに開始すべきことに意見の一致をみた。また、池田総理大臣から、日本のOECD加入の希望を表明したのに対し、デ・クワイ首相は、極めて好意的に協力することを約した。さらに池田総理大臣は、欧州経済共同体が開放的かつ自由なものとなり、自由世界の福祉と繁栄に寄与せんことを希望し、デ・クワイ首相も同感の意を表するとともに、この目的を達成するため努力すべき旨言明した。

 両国首相は、両国間の文化交流が両国民の相互理解のために、今後ともかかる交流を強化するため、一層の努力をはらうべきことにつき意見の一致をみた。

 両国首相は、近く予定されているベアトリックス内親王殿下の訪日および今回の池田総理大臣のオランダ訪問により、両国の相互理解と親善関係が深められることを満足をもって確認した。