[文書名] 日仏共同コミュニケ(1964年)
ポンピドゥ・フランス共和国首相は、一九六四年四月六日から九日まで日本の賓客として東京に滞在した。ポンピドゥ首相にはポンピドゥ夫人およびクーヴ・ド・ミュルヴィル外相が同行し、数名の仏側随員がこの訪問に参加した。
滞在中、ポンピドゥ首相夫妻は、天皇・皇后両陛下から謁見を賜わった。また、同首相およびクーヴ・ド・ミュルヴィル外相は池田総理および大平外相と会談した。
この会談は両国政府の間で合意された定期協議として行なわれ、昨年九月大平外相訪仏のさいに行なわれた会談に続くものである。
この会談はきわめて友好的な雰囲気で行なわれ、世界、欧州ならびにアジアにおける情勢について検討し、また国際情勢の種々の局面、特に、対中国政策、東南アジア情勢、欧州に関する諸問題、東西関係について討議した。国際経済上の重要問題、特に、ジュネーヴで開催中の国連貿易開発会議および近く行なわれるガット関税交渉について双方の立場を検討した。
この協議の結果、双方は、自由世界の基本原則である平和、正義、自由の達成を目標とする相互の立場を十分に理解した。
両国首相は、この会合がきわめて有益であったことを認めた。さらに両国首相は、両国間に存在すべき種々の問題の解決のため、また日本とフランスに関係のある一般的問題についての両国の態度を可能な限度において調和させるため、両国政府間の接触を拡大強化し、かつ、あらゆるレヴェルでの協力を実現する固い決意を表明した。
両国首相は、平和に対するあらゆる脅威は、世界のいかなる地域におけるものであっても、他の地域の国にとって無関心でありえないものであると認めた。
通商面に関しては、一九六三年五月十四日の協定が署名されて以来、貿易額が著しく増大したことが確認された。両国首相は、前記協定を実施するため新たな貿易自由化に関する合意が先月行なわれたことに満足の意を表した。両国首相は、このような発展の傾向が将来も続くことを希望した。
両国首相はまた、文化、科学、技術の分野での交流が将来急速に発展しつづけることの希望を表明した。
今回のポンピドゥ首相の訪日は、かねてから定められていたが、特に時宜をえたものであった。双方は、この訪日が日仏両国を結ぶ友好の絆の強化に多大の貢献をしたことを確認した。