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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 三木外務大臣のポーランド訪問に際しての共同コミュニケ

[場所] 
[年月日] 1967年7月27日
[出典] 外交青書12号,13−15頁.
[備考] 
[全文]

 三木武夫日本国外務大臣は、アダム・ラパツキー・ポーランド人民共和国外務大臣の招待により、七月二五日から同月二七日までポーランドを公式訪問した。

 この訪問中、三木外務大臣は、スタニスラフ・クリチンスキー・ポーランド人民共和国国家評議会副議長およびヨーゼフ・チランケーヴィチ閣僚会議議長に表敬した。

 三木外務大臣は、政治問題につきラパツキー外務大臣と、また、日本・ポーランド間の経済関係の一層の発展に関する問題につきトロンプチンスキー外国貿易大臣と広範な話合いを行なった。

 三人の大臣は、両国間の通商が成功裡に拡大していることを満足をもって認め、かつ、通商関係の拡大ならびに経済、産業および技術の分野における協力が両国の利益に合致するものであるとの確信を表明した。この問題に関し、三木外務大臣およびトロンプチンスキー外国貿易大臣は、日本・ポーランド混合委員会を開催することに合意した。この委員会は、一九六七年秋、ワルシャワにおいて開かれる。

 この話合いにおいて、両国外務大臣は、日本・ポーランド二国間関係を討議し、現在の国際問題につき意見を交換した。話合いは率直な、かつ、相互理解の増進を希望するとの雰囲気のうちに行なわれた。

 両国外務大臣は、文化および科学交流の発展に対し満足の意を表明した。両国外務大臣は、これら諸分野における両国間の接触を拡大するためにさらに具体的措置をとることを合意した。

 両国外務大臣は、国際情勢の討議にあたり、独立、主権および内政不干渉の諸原則に基づき国際協力を推進し、かつ、国際問題が平和的話合いにより解決さるべきであるとの希望を表明した。

 両国外務大臣は、東南アジアにおける情勢につき、関心を表明するとともに、この地域における諸問題に関するそれぞれの立場を表明した。

 両国外務大臣は、ジュネーヴ協定に規定されている諸原則がヴィエトナム問題解決の基礎を構成するものであることを合意し、かつ、この問題を早期に解決する必要性を強調した。

 両国外務大臣は、中東における紛争を討議した際、この地域における永続的平和を確保するために良好な条件を醸成することが重要であることを述べ、また、この目的を達成するためイスラエル軍が一九六七年六月五日以前の線までただちに撤退することが必要であり、適当な措置がとられるべきことを合意した。

 三木外務大臣は、さらにアジアにおける諸問題に関する見解を表明した。ラパツキー外務大臣は、特に欧州の安全保障問題およびこの問題に関するポーランドの発意につきその見解を表明した。同外務大臣は、ドイツ問題の重要性を同国の経験に徴し説明した。三木外務大臣はここに述べられたポーランドの立場を関心をもって聴取した。

 両国外務大臣は、有効な国際管理の下において実施さるべき全面完全軍縮に関する条約が、国際平和と安全保障にとり決定的重要性を有するものであるとの確信を表明した。両国外務大臣は、核兵器拡散防止に関する条約の締結が極めて重要であり、これは軍備競争を停止せしめることに寄与し、かつ、国際緊張緩和に役立つであろうということに合意した。両国外務大臣は、また、その他の関連措置も全面軍縮の促進を助長するものである旨述べた。

 両国外務大臣は、全世界に平和と安全を確保するために国際連合が有する重要性を考慮し、国連憲章に規定された諸原則の完全なそん重、および遵守を基礎として、国際協力の機構としてのこの機関の効率を強化することに賛意を表明した。

 ポーランド外務大臣は、同国を訪問した最初の日本国外務大臣である三木武夫大臣の今回の訪問が、日本・ポーランド両国間の友好関係と相互理解を一層増進するために大いに貢献したことに満足の意を表明した。日本国外務大臣は、今回の訪問に当り、同大臣に示されたポーランドのあたたかい歓迎と厚情に対し衷心より感謝の意を表明した。

 両国外務大臣は、直接の個人的接触および意見の交換が重要、かつ、有益であることを認め、両国政府が相互にとり関心のあるすべての事がらにつき接触を続けることを合意した。

 三木武夫日本国外務大臣は、アダム・ラパツキー・ポーランド外務大臣が日本国を公式に訪問するよう招待した。ポーランド外務大臣は満足の意をもってこの招待を受諾した。訪問の時期は、追って外交経路を通じて取決められることとなった。