データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] フランスの南太平洋核実験についての情報文化局長談話

[場所] 
[年月日] 1972年6月28日
[出典] 外交青書17号,536−537頁.
[備考] 
[全文]

 本日わが国政府は,フランスが6月25日南太平洋ムルロア環礁において,本年第1回目の核実験を行なつたとの報道に接した。

 あらゆる国の核実験に反対するわが国は,すでに右実験に対して,在仏日本国大使館を通じ,また情文局長談話によつて,抗議を行なうとともに,その即時中止を要請したところであり,フランスがわが国の要請を無視して実験を強行したことは極めて遺憾である。

 さらに去る16日終了したストックホルムの国連人間環境会議においてわが国も共同提案国となつた核実験禁止共同声明が行なわれ,また,核実験禁止決議が圧倒的多数をもつて採択されたこの時点において,フランスがあえて大気圏内核実験を強行したことは,同環境会議において表明された核実験禁止に対する多くの国々の願望を踏みにじるものといわざるを得ない。

 わが国は,ここに改めてフランス政府に抗議を行なうとともに,核実験の即時中止を強く要請する。

 なお,日本政府は,今回核実験の結果,直接的・間接的に日本国民が蒙ることあるべき損害の賠償をフランス政府に要求する権利を留保する。