データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ジュリオ・アンドレオッティ・イタリア共和国首相の訪日に際しての共同コミュニケ

[場所] 
[年月日] 1973年4月27日
[出典] 外交青書18号,104−105頁.
[備考] 
[全文]

 イタリア共和国首相ジュリオ・アンドレオッティ閣下は,日本政府の招待により,夫人を同伴して,1973年4月23日から同27日まで日本を公式訪問した。これは,イタリア共和国首相による最初の訪日である。

 アンドレオッティ首相夫妻は,日本滞在中,皇居において天皇皇后両陛下に拝謁し,両陛下から午餐を賜わつた。田中角栄総理大臣夫妻は,アンドレオッティ首相夫妻のため,官邸において晩餐会を催した。アンドレオッティ首相は,また,経済団体連合会,日本貿易会及び日本商工会議所合同主催による午餐会に出席した。

 アンドレオッティ首相は,田中角栄総理大臣と会談した。会談は,両国間の伝統的親善関係を反映して,卒直かつ友好的な雰囲気の下に行なわれた。

 両国首相は,欧州,アジア及び太平洋を中心とする現下の国際情勢を討議し,有益な意見の交換を行ない,広範な意見の一致が存在することを確認した。

 双方は,インドシナ半島の最近の情勢の変化が,同地域及び全世界の平和の強化を可能ならしめることを希望する旨表明した。また経済の分野においては,日本とECの関係及び国際通貨制度の改革について意見を交換し,来たるべき多角的通商交渉及びエネルギー問題についても討議した。

 双方は,平和維持のため国際連合が基本的に重要な役割を果たしていること及び国連の有効な機能を確保する必要性があることに意見の一致を見た。また双方は,中東問題の公正かつ恒久的な解決は,1967年11月22日の国連安全保障理事会決議242を基礎として見出されるべきであることにつき意見の一致を見た。

 双方は,世界の平和と安定を推進するためあらゆる努力を払うとの両国の決意を確認するとともに,かかる努力を行なうにあたり両国ができる限り協力することに同意した。

 双方は,日伊両国間に存在する極めて良好な政治的,経済的関係に満足の念をもって注目し,経済的相互協力及び種々の国際的な場における協議を含むより緊密な2国間接触により,この関係が更に増進するようにとの希望を表明した。また双方は,文化及び科学の分野における相互の関係が順調に進展していることに注目し,相手国の首都に存在する双方の文化施設の活動が更に発展するようにとの願望を表明した。

 アンドレオッティ首相は,田中総理大臣がイタリアを訪問するよう招待し,この招待は受諾された。訪問の時期は,いずれ通常の外交経路を通じて決定される。